給与の違いは、そのまま年金の差につながる場合も
日本ではまだまだ女性が育児や介護を担うことが多いでしょう。共働きが増えているものの、フルタイムではなくパートという方も周囲では多く見られます。男性は正規2344万人に対し、非正規372万人。女性は正規1138万人に対し、非正規831万人と、女性の非正規の人数も多いのが現状です。
一点、知っておいていただきたいのが、給与の違いはそのまま年金の受給額の差につながる面もあるということです。
日本の年金制度は、2階建てといわれています。
1階部分は自営業や専業主婦、扶養内で働くパートの方が受給する「国民年金」、2階部分は会社員や公務員、一定規模以上の企業で一定条件を満たしたパートの方が受給する「厚生年金」です。
厚生年金は加入月数や収入に応じてかわるため、男女差や個人差があるといわれています。実際に国民年金と厚生年金の男女別の平均受給額を見てみましょう。
【国民年金】
男性:平均年金月額:5万8866円
女性:平均年金月額:5万3699円
【厚生年金】
男性:平均年金月額:16万4770円
女性:平均年金月額:10万3159円
国民年金は男女差がほとんどありませんが、厚生年金は約6万円の差がありますね。
各家庭によりワンオペ育児や実家が遠方など環境が異なり、また日本は育児をしながら働きやすい環境であるとはまだまだ言えません。子どもの看病や行事、習い事の送迎、また自身の体力や心身の余裕を見れば、パートが最適という方も多いでしょう。
ただパートであっても、厚生年金への適用が拡大されています。2022年10月から従業員数100人超規模の企業で、2024年10月からは従業員数50人超規模の企業で、それぞれ一定条件を満たすことでパートの方も厚生年金に加入できます。
また、今は運用益が非課税になるつみたてNISAやiDeco(個人型確定拠出年金)など、資産運用がはじめやすい環境でもあります。働き方、貯め方で、この年金差を変えていくことはできるでしょう。
向き不向きはありますから、自分に合った方法で働き方や将来への備えを考えてみてくださいね。
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参考記事
- 国税庁「令和2年分(2020年)分民間給与実態統計調査」調査結果報告
- 厚生労働省年金局「令和元年度(2019年)厚生年金国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
宮野 茉莉子