厚生年金の受給額は「平均14.4万円」
ここからは同じ資料から、厚生年金の受給額事情をながめていきます。
厚生年金の被保険者は第1号から第4号に区分されていますが、ここからは被保険者のうち民間企業で働く人(=「公務員・私立学校の教職員」以外)が該当する「第1号被保険者」の年金額について見ていきます。また、下記の厚生年金保険(第1号)の年金月額には、基礎年金(国民年金)部分も含まれます。
厚生年金保険(第1号)「男女平均:月額14.4万円」
全体平均:14万4268円(男性:16万4770円、女性10万3159円)
平均額を基礎年金と比べただけでも「手厚さ」は実感できますが、シニアが実際に受け取っている額は「5万円未満」から「30万円以上」と、幅広い層となっています。
女性全体の44.0%が「5万~10万円未満」、男性全体の4割が「15万~20万円未満」の層に入ります。
厚生年金の「男女差・個人差」
厚生年金保険(第1号)の男女全体の平均受給額は14万円台ですが、男性の平均額は16万円台、女性の平均額は10万円台と大きな開きがあります。
厚生年金の場合、保険料は「標準報酬月額」や「標準賞与額」に一定の保険料率をかけて決められます。つまり、現役時代に、収入に応じた保険料を納め、それが納付期間とともに老後の年金額に反映されるわけです。
また、老齢厚生年金を受け取る前提として、先ほどの「基礎年金の受給資格期間=10年」を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1カ月以上あることが必要です。
このように、厚生年金の受給額は、現役時代の「収入」と「加入期間」に大きく左右されます、グラフのように、男女間・個人間で大きな開きが生じるのは、そのせいです。
女性は、出産・育児などライフイベントに合わせて仕事のペースを落としたり、家庭に入ったりする人の割合が多いですよね。厚生年金の受給額の男女差の背景の一つとして、こうした「働き方」の傾向の違いがあることが確かであるといえるでしょう。
また、現在は自営業や専業主婦(主夫)だが、若いころに厚生年金に加入していた時期がある、というケースも多いでしょう。厚生年金の加入期間が短い場合、実際に受け取る年金額は、予想に反して少ない可能性もあります。
ご自身の年金見込み額を早めに把握しておくことで、老後を見据えたマネープランが立てやすくなりそうですね。ぜひ、ねんきん定期便やねんきんネットで確認してみましょう。
厚生年金保険(第1号)受給額分布
男子 平均年金月額:16万4770円(計1066万6981人)
【内訳】~5万円未満:15万977人・5万~10万円未満:97万6724人・10万~15万円未満:261万3866人
15万~20万円未満:436万9884人・20万~25万円未満:224万9128人
25万~30万円未満:28万8776人・30万円以上:1万7626人女子 平均年金月額:10万3159円(計531万9978人)
【内訳】~5万円未満:31万5100人・5万~10万円未満:234万1321人・10万~15万円未満:218万2510人
15万~20万円未満:41万2963人・20万~25万円未満:6万3539人
25万~30万円未満:4166人・30万円以上:379人