基礎年金額を「満額」に近づけるために

この他にも、「資格期間が足りない」もしくは「年金保険料の免除や支払猶予をうけた」「未納期間がある」などの理由で、無年金・低年金となり得るケースはたくさんあるでしょう。その場合も、一定の救済措置は用意されています。

国民保険料の「追納」

「追納」は年金保険料の未納分を後払いし、保険料納付済み期間として年金額に反映してもらえる制度です。ただし、追納は「免除や猶予を受けた月から10年以内」に限ります。

国民年金の「任意加入制度」を活用する

「任意加入制度」は、60歳以上65歳未満の5年間(※)、任意で国民年金保険料を納付し、最大480月まで国民年金保険料の納付期間を増やせる制度です。

60歳までに老齢基礎年金の受給資格である10年を満たしていない場合の「無年金」を避ける、未納期間があるため老齢基礎年金を満額受け取れない場合の「低年金」を避けるために、検討したい方法です。

※受給資格期間を満たしていない場合、特例で最長70歳まで加入できます。

まとめにかえて

人はいつ何時、自然災害や病気・ケガに見舞われるかは予測できません。これは今のコロナ禍を生きる私たちが否応なしに実感していることですね。

「どうしても年金保険料が払えない」という事態は、誰にでも起こりうること、と筆者は考えます。

やむを得ぬ事情で年金加入期間が短くなってしまう場合もあるでしょう。ただ、一つだけ頭に入れておきたいのは、公的年金が支えているのは「老後の生活」だけではないという点。

病気やケガで障害を負ったとき受け取る「障害年金」、大黒柱にもしものことが起きたとき家族を支える「遺族年金」。年金保険料をしっかり納めていない場合、これらが支給されないことも。

やむを得ない理由で国民年金保険料の支払いが難しいときは、まずは、支払いが「免除・猶予」になる制度の申請を検討しましょう。そして、経済的な余裕ができた時点で、ぜひ「追納」し、年金受給額を満額に近づけていかれることをお勧めします。

参考資料