年金が「少ない・もらえない」が起こる理由

前項では、現在のシニア世代の年金受給額事情を見てきました。こうしてみると、平均額からはかなり離れた低年金の人が一定数存在していることが分かります。

このような低年金、さらには「無年金」の状態が起こるワケとして、まず挙げられるのは「資格期間の不足」です。

「資格期間」とは

日本の年金制度は「2階建て構造」などと呼ばれますね。

厚生年金は給与天引きだけど、国民年金(基礎年金)は自分で納付。

1階部分は「基礎年金」とも呼ばれる国民年金で、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入します。2階部分の厚生年金は、サラリーマンが国民年金(基礎年金)に上乗せして加入し、給与天引きで年金保険料を納めるものです。

老後に受け取る年金のうち、「老齢基礎年金(1階部分)」は「保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上」ある場合、原則65歳になった時点で受給できます。

「保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年に満たない場合」、合算対象期間(※)をプラスして10年以上になれば、この場合も年金を受け取ることができます。

この「資格期間」を満たしていない場合、年金が受給できない、つまり「無年金」となるのです。

※2017年7月31日まで、この資格期間は「25年」でした。現在は条件が大幅に緩和されて10年になっています。

(※)「合算対象期間」とは?

「昭和61年(1986年)4月1日以降の期間」「昭和36年(1961年)4月1日から昭和61年(1986年)3月31日までの期間」「昭和36年(1961年)3月31日以前の期間」それぞれにおいて、指定の条件に当てはまっていた場合。

参考:日本年金機構『合算対象期間』

次では、低年金・無年金の原因として多く見られる、もう1つの問題についてご紹介します。