貯蓄の差と、その理由は? ~老後資金を考える~

「無職世帯」と「はたらく世帯」の貯蓄金額の差は、243万円でした。つまり、「はたらく世帯」の方が貯蓄が少なく、貯蓄減を防ぐために65歳以降も働いていると考えられます。

では、老後の貯蓄額はどのくらいあれば安心でしょうか。ひとつの目安となるのが「ゆとりある老後の生活費」です。

生命保険文化センターの「生活保障に関する調査/令和元年度」よると、ゆとりある老後の生活費は平均月額36.1万円と試算されています。これは老後の最低日常生活費の月額平均22.1万円に、旅行や趣味、身内や友人との交際費などの月額平均14.0万円として加算したものです。

これをもとに老後に必要な資金を試算しましょう。

老後に必要な資金

36.1万円×12ヶ月×30年(老後を30年と仮定)=約1億3000万円

そのうち、公的年金でいくらカバーできるかというと、以下のとおりです。

一般的な夫婦二人(夫が厚生年金・妻が国民年金)の年金の平均額

夫:厚生年金平均月額16万4770円+妻:国民年金平均月額5万3699円=21万8469円※

※2020年12月公表の厚生労働省年金局「令和元年度厚生年金・国民年金事業の概況」より)

21万8469円×30年(老後を30年と仮定)=約7860万

一般的な夫婦二人の年金額平均で、7860万円がカバーできます。

約1億3000万円-約7860万円=約5140万円

一方で、年金とは他に約5140万円の貯金が必要になるという試算です。60代以上世帯の貯蓄金額は2000万円以上あるので安心と思われるかもしれませんが、実はさらに3000万円の準備が必要ということになります。

もちろんお住まいの地域や居住形態、生活水準により老後に必要な金額は異なります。ただゆとりある生活を送るには年金のほかに約5000万円必要となると、驚かれる方も多いでしょう。