「現金・預金」残高の推移を確認
それでは、金融資産残高の中でも「現金・預金」残高に着目してみましょう。
「現金・預金」の残高の推移
- 2019年(1-12月):1074兆円
- 2020年(1-3月 ):1000兆円
- 2020年(4-6月):1031兆円
- 2020年(7-9月):1035兆円
- 2020年(10-12月):1057兆円
- 2021年(1-3月):1057兆円
- 2021年(4-6月):1072兆円
「現金・預金」残高の前年比の推移
- 2019年(1-12月):2.3%
- 2020年(1-3月 ):2.1%
- 2020年(4-6月):4.1%
- 2020年(7-9月):5.0%
- 2020年(10-12月):4.9%
- 2021年(1-3月 ):5.7%
- 2021年(4-6月):4.0%
2020年は2019年の1074兆円より低い水準ですが、前年比で見るといずれもプラスです。特にはじめての緊急事態宣言が発令された2020年4-6月以降は、4~5%前後で増加が続いています。
金融資産残高は2020年1-3月期に前年比でマイナスに転じていましたが、現金・預金でみれば減少していないことが分かります。これは緊急事態宣言により消費が冷え込んだことや、コロナ禍による先行き不透明な情勢への不安から消費を控えたことなどが影響していると考えられるでしょう。
日本銀行は2021年4月28日に公表した「経済・物価情勢の展望」のレポートで、2020年の1年間の累計で20兆円程度の「強制貯蓄」があるとしています。「強制貯蓄」とは、本来あるべき家計消費のうち、感染症による消費機会の逸失により抑制されている部分のことです。