年始を全面高で終えた1週間

先週(1月2日‐1月6日)の世界の株式市場はほぼ全面高でした。週間騰落率は現地通貨ベースでTOPIXが+2.3%、米S&P500が+1.7%、独DAXが+1.0%、上海総合が+1.6%です。2016年最終週は日米株が下落し、新興国株が上昇ましたが、年初の相場はトルコ市場を除き全面高だったと言えます。

先週押さえておきたいポイントは二つです。

第一が米ドル金利が低下し、ドルが横ばいだったことです。週末の12月の米国の雇用統計で時間当たり賃金の上昇率が高まりましたが、1月4日に発表された12月13日‐14日分のFOMC議事録が米利上げ加速期待につながらずドル売り材料になった影響が残り、週を通してみると米ドルはメキシコペソなど一部の通貨を除いて横ばいでした。また米国の10年債利回りも低下しています。

第二が景況感の改善です。先週は中国、欧州、米国でPMIが、米国でISM景況感指数が発表されましたが、総じていえば景況感がじわりと改善を続けている内容でした。さらに欧州では12月のCPIが上昇を続け、脱デフレの兆候が見え始めています。

このようにグローバルな景況感の改善と米金利・米ドル上昇の一服は、米国株以上に日本株や新興国株、ナスダック指数に恩恵をもたらしました。人民元安を食い止めたといえる中国の上海株もS&P500とほぼ同様の上昇率になったことも、注目しておくべきでしょう。なお、昨年末の主役だった半導体株は一服しています。

先週の主要市場の動

注:現地通貨ベース、為替は円安がプラス、円高がマイナス

年初来の主要市場の動きは先週の動きと同じですので今回は省略いたします。

アウトルック:新興国とナスダックが牽引するか。人民元と米銀決算も注目

今週(1月10日‐1月14日)は人民元相場の展開と決算期入りを睨みながらも、世界的な株高基調が続くか注目です。

年初に懸念された人民元安はまず回避されて始まりましたが、市場では引き続き資本流出を懸念しています。中国当局が小康状態を保てるのか、まずは注目でしょう。

人民元不安が沈静化すれば、引き続きテーマは世界の景況感改善と米金利上昇の一服になるでしょう。先週のような新興国株やナスダック株物色が継続できるか、あるいは一服した半導体株に物色がもどるのか注目したいと思います。

今週はユーロの11月の鉱工業生産、中国の12月の消費者物価指数と生産者物価指数、および貿易収支、米国でのイエレンFRB議長発言と12月の小売売上高などがポイントです。なお、筆者は新興国株の勢いを考えるうえで、ブラジルの12月の消費者物価と金融政策決定会合における追加利下げ実施の有無、そしてそれに対する株式市場の反応に注目しています。

米銀の決算も始まり、企業業績を見守る時期が近づいてきました。いずれかの時点で市場の値動きも静まってくるかもしれません。

椎名 則夫