このように、子どもたちの中では性別を問わず根強い車への憧れがあります。子どもの頃の気持ちが、大人になったときに車の購入意欲に直接つながるというわけではありませんが、少なくとも車そのものへの興味が失われているというわけではないようです。

新技術やカーシェアリングなど時代の転換期

前述のように、都市部では公共交通機関の発達や維持費の問題もあり、地方のように自動車を保有する必然性を感じにくい環境です。その一方で、カーシェアリングの普及により、利用したいときにだけ自動車に乗ることのハードルは格段に低くなりました。

また、昨今さまざまな場面で取り沙汰されている「脱炭素化」により、自動車メーカーは電気自動車や水素エンジン車などの新技術開発に力を注いでいます。こうした新たな分野への挑戦と競争は子どもにとって魅力的に映り、自動車産業に興味を抱くきっかけにもなります。

かつてのスーパーカーブーム、バブル期からバブル崩壊期に重なるF1ブームなどを自動車産業は作り出し、高級車は今でも変わらず憧れの存在です。子どもたちのアンケート結果を見ても、車は免許を取得した大人しか運転できない特別な存在であることに変わりはありません。

少子高齢化の中、自動車産業は衰退を免れないという暗い見方で捉えることも多いですが、自動運転も含め大きな変革期を迎えようとしている中、いかに車の魅力を子どもたちにアピールしていくかも大切なミッションといえるでしょう。

参考資料

中山 まち子