国税庁が公表する「令和元年分 民間給与実態統計調査」によると、平均年収は436万円。男女別でみると、男性が540万円、女性が296万円。そして、年収1000万円を超える人は全体の4.8%と、ほんの一握りのトップ層であるといえそうです。

今回は、年収1000万円の会社員の公的年金額はいくらなのか、計算式から導き出してみましょう。また、年収1000万円の人の老後の生活をイメージするために、総務省の家計調査から平均的な老後の生活費と比較していきます。

高所得者のイメージである年収1000万円の老後生活は、悠々自適なのか、いや、そうでもないのか・・・・・・?

今日は、数字で検証していきます!

年収1000万円の年金額を計算!

年収1000万円の会社員は厚生年金をいくらもらえるのか、さっそく次の計算式を使って算出してみたいと思います。

(1)平成15年3月以前=平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月以前の月数
(2)平成15年4月以後=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以後の月数

(1)+(2)=厚生年金の年金額(報酬比例部分)

※7.125や5.481という数字は生年月日ごとの乗率であり、ここでは昭和21(1946)年4月2日以降生まれの人の本来水準の乗率を使用しています。

平成15年(2003年)4月を境に「平均標準報酬月額」から「平均標準報酬額」に変わっているのは、給与の計算方法が変わったためです。

平均標準報酬月額は標準報酬月額の平均額のことで、月給の平均額を意味します。

平均標準報酬額は標準報酬月額と標準賞与額の総額を月数で割った額です。平たくいえば、月給と賞与の総額となる年収を12で割った額です。

ここでは、2003年4月以降に社会人になった人を想定して、(2)の計算式のみを使っていきますね。

<条件>

  • 年収1000万円(標準報酬月額60万円、標準賞与額140万円×年2回)平均標準報酬額を83万円とする
  • 40年間厚生年金保険に加入し、その期間の収入は一定とする

 

この条件の場合、

83万円×5.481/1000×480ヵ月=218万3630円

約218万円となりました。

この金額は、厚生年金の報酬比例部分のみの金額であり、ここに基礎年金額が加わります。2021年度の基礎年金の満額は78万900円なので、合計すると約296万円となります。

年収1000万円で生活していた人が老後に公的年金だけに頼る場合、年収300万円程度になるということです。