この記事の読みどころ
- 12月の日本株式相場は、トランプラリーが継続した結果、日経平均株価は年初来高値を更新しました。
- 結局、2016年はわずかながらとはいえ、2015年末比でプラスとなりました。6月下旬の安値から急回復したことになります。
- 1月はトランプ政権の正式発足やQ3累計決算発表など、2017年の株式相場は材料が豊富なスタートになりそうです。
先月(2016年12月)の株式相場の振り返り
12月は“トランプご祝儀相場”、“トランプラリー”が継続した結果、日経平均株価はついに年初来高値を更新しました。ドル高(円安)に伴う輸出関連銘柄の株価上昇が牽引役となりましたが、年末にかけては揉み合いで終えています。
トランプラリーが継続、日経平均株価は年初来高値を更新
12月の株式相場は、11月の米国大統領選後に始まったトランプラリーが続き、日経平均株価は年初来高値を更新しました。日経平均株価のレンジは概ね18,200~19,600円となっています。
ただ、12月21日に年初来高値(19,592円)を付けた後は、高値警戒感などから揉み合う展開が続いており、20,000円台の達成は2017年への“宿題”となりました。
12月の相場上昇をもたらしたのは、トランプラリーに伴う円安進行(ドル高)です。トランプ氏当選時に一時101円/ドルまで円高となりましたが、11月末には114円/ドルへ下落し、さらに12月中旬には一時119円/ドル手前まで円安が進みました。過去を振り返っても例がない急ピッチな円安進行です。
これを受けて、自動車、電機、精密機器などの輸出関連株が軒並み大幅上昇し、株式相場を牽引しました。ただ、為替相場も年末にかけては117円/ドル前後で揉みあう展開となっており、2017年にもう一段の円安進行があるかどうか注目されます。
FRBによる1年ぶりの利上げ実施も相場に安心感
また、トランプラリーの勢いに隠れがちですが、FRBが1年ぶりの利上げを実施しました。既定路線だったとはいえ、利上げが相場の攪乱要因になることはなく、逆に、その後の米国株式市場の上昇につながっていることも安心感を与えたと言えましょう。
2016年の日経平均株価は最大約▲22%から巻き返し、プラスで終える
ちなみに、日経平均株価を振り返ると、11月末の株価(終値、18,308円)との比較では、12月末終値は+4.4%上昇となりました。また、12月高値は同+7.0%上昇、12月安値は同▲0.4%下落となっています。
なお、2015年末と比較した12月終値は+0.4%上昇となりました。
振り返ると、6月24日の英国EU離脱決定時に付けた安値(14,864円)は、2015年末比で▲21.9%の大幅下落となっていました。そこから半年後にはプラス転換したわけですから、2016年の株式相場がいかに乱高下したかが分かります。
それでも、最後はプラスで終わったということは、“終わり良ければすべて良し”ということなのでしょう。
2017年1月の注目イベント、注目セクター
1月の最大の注目点はトランプ大統領の就任式ですが、下旬から徐々に本格化するQ3累計決算発表も波乱要因になる可能性があります。トランプラリーの持続性が大きな焦点になると思われます。
日米の金融政策に大きな動きはない模様だが…
1月は、月末に日米で金融政策の会議があります(日銀は30~31日、FOMCは31~2月1日)。このうち米国は12月に利上げを実施したばかりですから、今回のFOMCに大きな動きはないと見られます。
ただ、1年前の日銀金融政策決定会合でマイナス金利を導入したことを思い起こすと、日本の金融政策は少し気を付けておく方が無難でしょう。
トランプ政権の正式発足、就任式で波乱はあるか
こうした金融政策よりも重要となるイベントが、トランプ大統領の就任式(20日)です。就任式でのスピーチ内容を含め、この20日前後に金融市場で流れが変わるようなことが起きるのか注意が必要でしょう。
トランプ政権の発足で、現在の期待相場がさらに続くのか、それとも、いったん冷静になるのか、非常に重要なタイミングとなります。
Q3累計決算での円安効果に対する過大な期待は禁物?
また、月末が近くなる24~25日頃からは、各社のQ3累計(4-12月期)決算に注目が集まると考えられます。今回のQ3累計決算は、昨年11月の米国大統領選後に迎える初の決算発表ですが、その後の経済環境の変化、とりわけ円安進行が企業業績にどのようなインパクトを与えるのかが最大の焦点です。
その中でも、為替影響の大きい輸出関連企業に対しては、従来会社予想の上昇修正期待が高まると見られ、株価の一段高も十分あり得ましょう。
一方で、約2か月にわたるトランプラリーの間、多くの輸出関連銘柄の株価は大幅上昇となっており、既に業績改善は織り込み済みと思われます。上方修正がない場合は失望売りの可能性が高く、また、仮に決算発表で上方修正があったとしても、“材料出尽くし”となる可能性があることに留意すべきです。
逆に、今回のトランプラリーに乗り遅れた内需関連銘柄は、買い場となる局面があるかもしれません。いずれにせよ、出遅れ感の強い好業績銘柄をコツコツ拾っていくことが有効になると思われます。
LIMO編集部