正社員なら安心という時代は終わった

ただ“正社員になっていれば安心"というのも、過去の常識になりつつあります。同調査で正社員の月収の分布を見ていくと半数以上が30万円未満。50万円以上はわずか1割程度しかいません。

つまり、一部の高給取りの正社員が平均月収を押し上げているだけで、正社員なら安心という時代は終わりつつあるのかもしれません。そして蛇足ではありますが、現在、一部の大企業で進行している早期退職プログラムは、この“一部の高給取り"を狙い撃ちしているとも言えます。

この問題は徐々に顕在化しており、最近NHKのWEB特集でも「念願の正社員、でも『安かった』」というタイトルで取り上げています。その内容を少し紹介します。

居酒屋のアルバイトがコロナ禍の影響で大幅に減った25歳のマリさん(仮名)は、今年1月から正社員として洋菓子メーカーで働き始めました。入社時の条件は「1日の実働8時間。週休2日で月給24万円~。ただし、固定残業代、50時間分を含む」。

働きだすと、かなり多忙で1日10時間以上の勤務は当たり前。急な休日出勤も多く、この月の労働時間は208時間にのぼりました。

そして、振り込まれた給与が24万6324円。

ご存じの通り、固定残業代なので50時間以内の残業は残業代が上乗せされることはないということです。