老後の生活費はどれくらいか

厚生労働省「令和2年簡易生命表」を見ると、日本人の平均余命は男性は81.64歳、女性は87.74歳となっています。

平均余命が長くなって大変喜ばしいことですが、同時に生活費や医療費などの出費が増える可能性についても考えていかなければなりません。

ここからは、老後にどれくらいの生活費がかかるのか考えていきましょう。参考にするのは、2019年に話題になった「老後2000万円問題」です。

金融庁の「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書(令和元年6月3日)」によると、2000万円は以下のように算出されています。

【モデルケース】高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上を想定)

  • 実収入(主に年金):20万9198円
  • 実支出(主に食費):26万3718円

月々の赤字額:約5万5000円

老後必要額=5.5万円×12ヶ月×30年(老後30年と仮定)=1980万円(約2000万円)

このモデルケースでは、老後は毎月約5.5万円の赤字が発生することが想定されています。

例えば、現在70代の方が、平均寿命の80代までの10年間にかかる生活費を計算してみると、以下のようになります。

  • 5.5万✕12ヶ月✕10年=660万円

このように、貯蓄1000万円あれば、なんとか10年間は生活出来る計算になります。

しかし、これはあくまで試算ですので、世間の考えとは大きく乖離している部分もあるようです。生命保険文化センターが行った意識調査では、夫婦2人でゆとりある老後をおくるための生活費は、平均月36万1000円という結果がでています。

この生活費を、先ほどのモデルケースに当てはめてみると、老後30年間で発生する赤字の総額は約5400万円にものぼる計算になります。