年収600万円といえば、中流家庭というイメージを持たれる方も多いでしょう。

国税庁の「令和元年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者数は5255万人で全体の平均年収は436万円。男女別に見ると男性の平均年収が540万円(3032万人)、女性は296万円(2223万人)です。

年収600~700万円以下の人は339万7000人で、全体(5255万1000人)の6.5%。一人で年収600万円台の方は少ないことが分かります。男女の平均年収を見ると、世帯年収では600万円を超える家庭は少なくないでしょう。

今回は年収600万円で二人以上の勤労者世帯に視点を当てて、貯蓄や負債事情を見ていきます。

【年収600万円前半】二人以上・勤労者世帯の貯蓄と負債は?

総務省の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」より、年収600万円台前半を参考に貯蓄額とその内訳をながめましょう。ちなみに家族構成は以下の通りです。

【年収600万~650万円・勤労者世帯】家族構成

  • 世帯主の平均年齢・・・48.3歳
  • 世帯人数の平均・・・3.29人

  ・うち18歳未満の世帯人員・・・0.97人

  • 世帯主の配偶者のうち女性の有業率・・・54.8%

40代後半の夫婦と、子どもが約1人なので年齢的に10代と考えられるでしょう。女性の有業率が半分を超えているので、半分以上は夫婦2人で年収600万円の世帯です。次に貯蓄と負債額をみていきましょう。

【年収600万~650万円・勤労者世帯】貯蓄

平均貯蓄額:1209万円

〈貯蓄の内訳〉

  • 通貨性預貯金:412万円
  • 定期性預貯金:376万円
  • 生命保険など:263万円
  • 有価証券:126万円
  • 金融機関外:32万円

【年収600万~650万円・勤労者世帯】負債

平均負債額・・・930万円
  ・うち「住宅・土地のための負債」・・・874万円

貯蓄額は1209万円と1000万円を超えています。その内訳をみると、定期も含めた預貯金が約800万円。生命保険や有価証券などで資産運用も行っています。貯蓄は多いですが、年齢的にこれから子どもの塾代や大学費用などがかかると考えられるでしょう。

負債額は900万円台と大きいです。住宅や土地が占める割合がほとんどなので、住宅ローンと考えられます。それでは、貯蓄から負債を引いた「純貯蓄額」を計算してみましょう。

1209万円-930万円=279万円

年収600万円というとゆとりがあるイメージですが、純貯蓄でみると年収の半分です。まだまだ残る住宅ローンに、これから大金がかかる教育費、この他に老後資金を準備するとなると、貯蓄が約1200万円あっても安心とは言いにくいでしょう。お子さんの進学先によっては学費が想像以上にかかったり、仕送り費用が必要になったりする場合も少なくありません。