共働き世帯は「やっぱり、経済的に有利」
総務省「家計調査(家計収支編)」から、共働き世帯は月22万4343円金融資産が増えることがわかりました。年間にすると約270万円となります。
専業主婦世帯よりも年間約76万円多く貯蓄ができる計算です。最初に示した総務省「家計調査(貯蓄・負債編)」では、年収の差が127万円だったのに対して少ないと感じるかもしれません。
1カ月の消費支出は共働き世帯が専業主婦世帯と比べて3万円多くなっていることも関係しているでしょう。
共働きとなるとどうしても支出が増えてしまいがちです。収入が増えても支出が多くなってしまえば意味がないので、共働き世帯にとっては、収入を増やすことと同じくらいに支出をコントロールしていくことが大事になります。
しかしながら、共働きによる支出の増加を織り込んでも、収入はそれ以上に増えるケースがほとんどでしょう。総務省「家計調査(家計収支編)」の共働き世帯の配偶者収入をみると、年収200万円程度になっており、決して多いとはいえませんが、収入源が2つあることは将来的に大きな差となります。
専業主婦世帯との差が年間約76万円となれば、20年、30年の間に1000万円、2000万円の差となります。さらに、夫婦二人が厚生年金保険に加入すれば、基礎年金にプラスして厚生年金が受け取れるため、年金額が増えるというメリットもあります。
さいごに
ここまで述べたことから、経済的には共働き世帯が有利であることは間違いありません。
しかし、現実問題として、女性が仕事を続けていくにはさまざまな困難があります。仕事と家庭の両立支援のための制度の拡充はもとより、家庭内での家事分担など男性側の意識変化も必要といえそうです。
将来、共働き世帯はさらに増えていくでしょう。現在共働きの人、将来、共働きを考えている人は、この機会に働きやすい環境作りのために夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 労働政策研究・研修機構(JILPT)「早わかり グラフでみる長期労働統計 図12 専業主婦世帯と共働き世帯
- 総務省統計局「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 詳細結果表」 3-11 年次 2020年
- 総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 二人以上の世帯 詳細結果表」8-9 年次 2020年
- 内閣府男女共同参画局「男女共同参画白書 平成29年版 第1節 働く女性の活躍の現状と課題」
石倉 博子