老後を目前に控えた50代。

老後資金の準備にラストスパートをかける方も少なくないでしょう。みなさんはどのくらい貯蓄できていますか?

今回は、証券会社でファイナンシャルアドバイザーとしてお客様の資産運用に携わってきた私が、50代の方の貯蓄事情をお伝えしていきたいと思います。

50代の貯蓄事情

それでは、総務省統計局が公表する「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」から、50代の貯蓄状況を見ていきましょう。

50歳代世帯の貯蓄状況

  • 貯蓄現在高:1703万円
  • 負債現在高:699万円(うち「土地・住宅のための負債」:620万円)

1703万円―699万円=1004万円(純貯蓄)

50代の純貯蓄額はおよそ1000万円という結果ですが、これは老後生活のために十分と言える金額なのでしょうか。

2000万円問題とは何だったのか?

ここで、2019年に話題になった「老後2000万円問題」を、金融庁の「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書(令和元年6月3日)」を参考におさらいしてみましょう。

【モデルケース】高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上を想定)

  • 実収入(主に年金):20万9198円
  • 実支出(主に食費):26万3718円

月々の赤字額:約5万5000円

老後必要額=5.5万円×12ヶ月×30年=1980万円(約2000万円)

これが「老後2000万円問題」の基になった計算式となります。

50代で純貯蓄が1000万円ほどある方は、定年退職時にもらえる退職金を考えると、とりあえず「老後2000万円問題」はクリアしているように見えますね。

老後2000万円問題の落とし穴

しかしながら、「老後2000万円問題」には落とし穴が2つあることも、覚えておいたほうが良さそうです。

①住宅費が月1.4万円しか含まれていない

先ほどのモデルケースでは、持ち家が前提になっており、住宅費は月1.4万円しか計上されていません。老後の住まいを賃貸で考えている方は、家賃分も計算に上乗せする必要があります。

②意外とかかる介護費

すべての人が要介護になるわけではありませんが、「LIFULL介護」のデータを参考にすると、平均入居期間の5年で計算した場合、サービス付高齢者向け住宅で約1000万円、有料老人ホームで約1900万円かかる計算になります。

将来の介護費も自分で備えたいという場合は、貯蓄2000万円では少々不安があるかもしれませんね。

どうやって準備する?老後資金

ここまで読んできて、老後資金をどう準備すればいいの?と不安に思われる方もいるかもしれません。

老後を迎えるまでの時間を有効活用する方法のひとつとして、「資産運用」を検討してみてはいかがでしょうか。

資産運用と聞くと「リスクがこわい」「難しい」などのイメージがあるかもしれませんが、最近では「イデコ(iDeCo:個人型確定拠出年金)」や「つみたてNISA」など非課税制度も登場し、投資ビギナーの方でも少額投資を始めやすくなってきています。

資産運用で重要なポイントを3つ解説!

資産運用におけるポイントは様々ありますが、今回は老後資金を形成する上で、大切なポイントを3つ挙げていきたいと思います。

①複利運用

金利には、複利と単利がありますが、運用年数が長ければ長いほど複利の効果は絶大です。例を挙げてみていきましょう。

例えば、毎月2万円を利率6%で20年間積立てた場合でシミュレーションしてみると、最終的な合計額は以下のようになります。

【積立元利金合計額】※金融広報中央委員会「知るぽると しっかりシミュレーション」を用いて試算

  • 単利で運用した場合:710万4924円
  • 複利で運用した場合:795万6867円

積立てる金額は同じでも、結果に大きな差が出ることがわかりますね。

②長期積立運用

資産運用は、できるだけ長い期間を使って運用することで、リスクが軽減しリターンが安定します。また、積立投資で毎月投資することで、ドルコスト平均法を活用でき、高値掴みするリスクを抑えられます。

③いざというときの保障

長期間運用するリスクとして、突然のケガや病気、失業などで、運用を続けられなくなることが考えられます。そのため、不測の事態に見舞われても運用が継続できるよう、医療保険や失業保険などの保障をきちんと考えておくことは大切です。

現在50代の方は、長期運用や保障と言われてもピンとこない方もいるかもしれませんね。

しかし、「人生100年時代」と言われている現在、老後も運用を続けながら保障を考えていくことは、今まで以上に重要なことになってきているのではないでしょうか。

「資産運用が初めて」という方には、まずはご自身の老後に添ったライフプランをじっくりと考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

岡崎 泰輔