年金を早めにもらえる「繰り上げ受給」とは?

先述した通り、年金は65歳からもらえるのが原則です。「60歳で定年だから、年金がもらえるまでの5年は貯金で乗り切れるだろうか」と不安に思った人もいるのではないでしょうか。

実は、年金を前倒しでもらえる「繰り上げ受給」という制度があります。この制度のメリット・デメリットを見ていきましょう。

「繰上げ受給」のメリット・デメリットとは?

「繰り上げ受給」について、解説していきます。この制度を活用すれば、60~64歳までの間から早めに年金を受給できます。

ただ、繰り上げ請求にはデメリットも複数あります。まず、繰り上げた月数に応じて、年金が減額されてしまいます。さらに、この減額率は65歳以降も変わることはありません。このほか、遺族年金・障害年金・寡婦年金の支給にも制限がかかるケースがあります。早めに年金をもらえるというメリットを引き換えに、さまざまな制限があることを理解しておくべきです。

また、一度繰り上げ申請をすると、それ以降の変更・取り消しができません。繰り上げ受給の申請は、慎重に検討をするべきと言えそうです。

「特別支給の老齢厚生年金」とは?

厚生年金の支給開始年齢は、2021年現在は原則65歳であることには先に触れた通り。実は、その以前は「60歳」であり、段階的に引き上げられたという背景があるのです。

制度の変更には「経過措置」が取られており、一定の要件を満たすと65歳まで「特別支給の老齢厚生年金」を受給できます。下記の条件にすべて当てはまる方が対象となります。

「特別支給の老齢厚生年金」の受給要件

■60歳以上である
■老齢基礎年金の受給資格期間(10年)がある
■厚生年金保険等に1年以上加入していた
■以下の日以前に生まれている

  • 男性…1961年(昭和36年)4月1日
  • 女性…1966年(昭和41年)4月1日

支給がはじめる年齢は生年月日によって変わるので、ご自身で確認してみることをおすすめします。