米Kopin、日本企業とマイクロLED開発契約。2年以内にフルカラー実現へ

ヘッドセットにもマイクロLEDの採用が進みそうだ(写真はKopinのヘッドセットGolden-i Infinity)

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 LCOS(Liquid Crystal On Silicon)や有機ELのマイクロディスプレーを手がける米Kopinは、日本の大手エレクトロニクス企業と共同で、2K×2K(解像度2048×2048画素)のフルカラーマイクロLEDディスプレーを共同で開発・生産する複数年契約を結んだと発表した。合意に基づき、Kopinは日本企業から開発資金の支援を受けて、Kopinは独自のシリコンバックプレーンウエハーを、日本企業はフルカラー化に必要な色変換プロセスとボンディング技術をそれぞれ開発する。

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1インチで解像度2K×2K目指す

 合意によると、両社は24カ月以内に対角1インチの2K×2KフルカラーマイクロLEDディスプレーの開発を目指す。マイクロLEDは、高い輝度やコントラスト、視野角の広さ、低消費電力といった特徴を持つため、スマートグラスをはじめとするAR(拡張現実)/VR(仮想現実)/MR(複合現実)用途に最適なディスプレー技術といわれている。

 だが、現時点で実現できているマイクロLEDアレイは単色であり、フルカラーを実現するためには、青色LEDを緑色と赤色に変換する色変換技術や、マイクロLEDアレイとシリコンバックプレーンを接合するボンディング技術を開発・実用化する必要がある。KopinはシリコンバックプレーンやマイクロLEDディスプレー技術に関し、複数の特許を保有している。

JBDやVuzixとも開発提携

 本件に先立つ21年1月、Kopinは中国に工場を持つマイクロLEDメーカーのジェイドバードディスプレー(Jade Bird Display=JBD、香港)とマイクロLEDディスプレーの複数年にわたる開発契約を締結している。この契約では、Kopinが設計・提供するシリコンバックプレーンウエハーに、JBDがマイクロLEDウエハーをボンディングし、モノリシック型の2K×2K単色マイクロLEDディスプレーを開発・製造する。Kopinによると、開発にあたってJBDから開発資金の支援を受けた。

 一方でJBDは、スマートグラス専業メーカーの米Vuzixとも共同開発契約と相互供給契約を結んでいる。Vuzixの光導波路にJBDのマイクロLEDを組み込んだディスプレーエンジンを共同開発し、両社の顧客へ相互に供給していく予定だ。

 Vuzix、JBD、Kopinの一連の契約に基づき、Vuzixは21年内にマイクロLEDディスプレーを搭載したARスマートグラスを開発・商品化する予定だ。これまでのVuzixの説明によると、マイクロLEDを搭載するARスマートグラスに関しては現在5つの製品開発が進んでおり、21年後半に限定顧客とのテストを予定している。ただし、まずは単色カラーのマイクロLEDディスプレーを搭載したモデルが商品化される見通しで、22年にはフルカラーHD表示にアップグレードさせ、モデル展開を拡大していく予定だ。

パナソニックに有機ELで供給実績

 ちなみにKopinは、パナソニックが開発したVRグラスに1.3インチで2.6K×2.6K解像度のマイクロ有機ELディスプレーを供給した実績がある。このマイクロ有機ELディスプレーは、シリコンバックプレーン上に有機ELの発光層を2層に重ねた「デュオスタック構造」を採用したKopin独自の製品で、1000ニット以上の高い輝度や1万対1以上の高いコントラストを実現した。パナソニックは、このVRグラスを1月に開催された世界最大の家電見本市「CES2021」に出展した。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

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執筆者
津村 明宏
  • 津村 明宏
  • 株式会社産業タイムズ社 電子デバイス産業新聞 編集長

1995年3月に関西大学経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長。