どちらが得かシミュレーション
次の条件で、一時金で受け取った場合と年金で受け取った場合の60歳から84歳までの手取り額を比較してみます。
条件
- 年齢59歳 配偶者あり(59歳扶養配偶者:厚生年金なし)
- 勤続年数30年・60歳定年
- 60歳から64歳まで再雇用(年収200万円)
- 公的年金 65歳から84歳まで20年間200万円を受け取る
この条件で、「退職金2000万円」を、一時金で受け取る場合と60歳から10年確定年金(年率2%)で年間約220万円を受け取る場合を比較します。
一時金で受け取った場合の手取り額(概算)
【一時金】
- 退職金:2000万円
- 所得税:約15万6000円(※3を参照)
- 住民税:250万円×10%=25万円
- 手取り額:約1959万4000円
【60歳~64歳】
- 給与収入:200万円
- 所得税:200万円-(給与所得控除68万円+基礎控除48万円+配偶者控除38万円+社会保険料30万円)×5%=8000円
- 住民税:200万円-(給与所得控除68万円+基礎控除43万円+配偶者控除33万円+社会保険料30万円)×10%=2万6000円
- 社会保険料:30万円(給与収入×15%で計算)
- 年間手取り額:約166万6000円
- 5年間の手取り額:約833万円
【65歳~74歳】
- 公的年金:200万円
- 所得税:0円
- 住民税:0円
※年金収入から公的年金等控除および各種控除を引くと0円になる。
- 社会保険料:16万円(年金収入×8%で計算)
- 年間手取り額:約184万円
- 10年間の手取り額:約1840万円
【75歳~84歳】
- 公的年金:200万円
- 所得税:0円
- 住民税:0円
- 社会保険料:12万円(年金収入×6%で計算)
- 年間手取り額:約188万円
- 10年間の手取り額:約1880万円
※社会保険料はお住まいの地域によって保険料の額や算定方法が異なります。ここでは概算として出しています。
一時金で受け取った場合の60歳から84歳までの手取り額の総額は約6512万4000円となりました。
年金で受け取った場合の手取り額(概算)
【60歳~64歳】
- 給与収入+企業年金:420万円
- 所得税:(雑所得137.5万円+給与所得132万円)-(基礎控除48万円+配偶者控除38万円+社会保険料30万円)×5%=約7万7000円
- 住民税:所得153万5000円+10万円×10%=約16万4000円
- 社会保険料:30万円(給与収入×15%で計算)
- 年間手取り額:約365万9000円
- 5年間の手取り額:約1829万5000円
【65歳~69歳】
- 公的年金+企業年金:420万円
- 所得税:雑所得288.5万円-(基礎控除48万円+配偶者控除38万円+社会保険料33万6000円)×5%=約8万4000円
- 住民税:所得168万9000円+10万円×10%=約17万9000円
- 社会保険料:33万6000円(年金収入×8%で計算)
- 年間手取り額:約360万1000円
- 5年間の手取り額:約1800万5000円
【70歳~74歳】
- 公的年金:200万円
- 所得税:0円
- 住民税:0円
※年金収入から公的年金等控除および各種控除を引くと0円になる。
- 社会保険料:16万円(年金収入×8%で計算)
- 年間手取り額:約184万円
- 5年間の手取り額:約920万円
【75歳~84歳】
- 公的年金:200万円
- 所得税:0円
- 住民税:0円
- 社会保険料:12万円(年金収入×6%で計算)
- 年間手取り額:約188万円
- 10年間の手取り額:約1880万円
年金で受け取った場合の60歳から84歳までの手取り額の総額は約6430万円となりました。
額面と手取り金額の比較 「退職金+給与収入+公的年金」
【グラフ】「退職金+給与収入+公的年金」の総額 一時金と年金受取比較例 をご覧ください。
退職金と給与収入、公的年金を合わせた総額を額面で比較してみると、退職金を一時金で受け取った場合は7000万円となり、年金で受け取った場合は利息分増えて7200万円となります。
しかし、税金と社会保険料を引いた手取りで比較すると、一時金では約6512万4000円、年金では約6430万円となり、82万4000円一時金受け取りの方が多くなる結果となりました。