長期化するコロナ禍。雇用・収入面で見通しが立ちにくい状態は、もうしばらく続きそうです。

そんななか、財布のヒモを締めて貯蓄ペースの見直しをされていらっしゃるご家庭も多いでしょう。

「もう少し収入があれば、貯められるはずなのに・・・」なんて考える方もいらっしゃるかもしれませんね。では、年収が高ければ、その分、貯蓄額も多くなるのでしょうか。

今回は、最新の「家計調査報告」をもとに、年収と貯蓄の関係を眺めていきます。

最新「みんなの貯蓄事情」

総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)―2020年(令和2年)平均結果―(二人以上の世帯)」によると、二人以上世帯の貯蓄現在高の平均値は1791万円、中央値は1061万円、負債現在高の平均値は572万円です。

また、年間収入は634万円で、前年より5万円増加しています。

これを勤労者世帯(二人以上世帯に占める割合は54.4%)に絞ってみると、貯蓄現在高の平均は1378万円、中央値は826万円です。負債現在高は1569万円(中央値は1466万円)です。また年間収入は740万円です。

ここからは勤労者世帯に絞って、年収ゾーンと「貯蓄と負債」の関係を見ていきます。

勤労者世帯の「貯蓄と負債」

まずは年収と「貯蓄・負債」の関係をグラフで見ていきましょう。

総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2020年(令和2年)平均結果-(二人以上の世帯)」第8-2表「年間収入階級別貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高」をもとに筆者作成

年間収入1500万円以上の層になると、平均貯蓄額はあと少しで4000万円に手が届く程度まで上がります。また、最も平均貯蓄額が少ないのは、年間収入200万円未満の層です。

年収が上がると貯蓄も増えているように見えますが、必ずしも「年収とともに貯蓄額が上がっていく」というわけでもなさそうです。

年収250~300万円の層の貯蓄額(964万円)より、年収300万~350万円の層の貯蓄額(720万円)は低いです。また、年収350~400万円の層の貯蓄額は962万円ですが、これは年収400万~550万円の層より高くなっています。

また、負債を見ると、最も高いのは年収1500万円以上世帯です。

貯蓄と負債はセットにして考える必要がありそうです。次では、さらに深掘りしていきます。