バブル期と最近では、円相場はそれほど違いません。その間に日本の物価は下がり、米国の物価は上がっているので、実質実効為替レートは大幅に低下しています。過去の平均と比べると、バブル期には輸出が困難なほど円高であったものが、最近では輸出が非常に容易なほど円安になっている、ということがわかるわけです。

円相場が安すぎるため、国内高級ホテルの値段が外国人にとっては安く感じられ、日本人は泊まれないのに外国人には泊まれるわけですし、海外の高級食材の値段も安すぎる円相場で換算すると、日本人には到底手が出ないような高い価格になってしまうわけですね。

実際に貧しくなったことも事実だが・・・

本稿の主題である「物価が安すぎる」については円相場が安すぎるからという理由です。

しかし、高級ホテルに外国人ばかり泊まったり、高級食材が高くて輸入できなかったりする理由としては、日本人が実際に相対的に貧しくなっていることも重要です。バブル崩壊後の長期低迷期にゼロ成長が続いていた間に海外諸国は経済成長を続けていたわけですから。

したがって、高級ホテルや高級食材が高すぎて手が届かない理由の半分は円が安すぎることですが、残り半分は日本人が実際に貧しくなっているから、ということなのでしょうね。悲しいことですが。

本稿は、以上です。なお、本稿は筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織その他の見解ではありません。また、厳密さより理解の容易さを優先しているため、細部が事実と異なる場合があります。ご了承ください。

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塚崎 公義