株主優待はクオカードだけではない
2016年12月9日付けの日本経済新聞は、「株主優待制度で金券を提供する企業が増えている」と報じています。
金券は家計の足しになること、金券として配られるクオカードは使えるお店が多く評判がいいこと、B2B企業の場合、一般消費者向けに提供できる自社商品がないことなどが背景にあるようです。
ただし、株主優待は金銭的な価値の提供だけではなく、その企業に親近感を持って株式を長期保有してもらうよう促すことも目的です。こうした観点から目を凝らして見てみると、クオカードやギフトカード以外のユニークな株主優待を行っている企業は結構あるものです。
そこで今回は、12月に権利確定日を迎える企業の中から特徴のある優待を行っている4社を選んでみました。
12月が権利確定月のユニークな株主優待を行っている企業4社
まず最初はデイトナ(7228)です。同社はオートバイ用オリジナルカスタマイズ部品・用品の企画、開発、販売を国内外で展開しています。人口減の日本でも、若い頃にバイクに乗っていた年配者が再びバイクに乗るというリターンライダーが増加しているため、需要は堅調のようです。
同社の株主優待では、株主になると本社がある静岡県の名産品や自社商品をもらうことができます。具体的には、200株以上1,000株未満の保有であれば、新茶100グラム2缶セット、新茶100グラム1缶とお菓子セット、遠州浜名湖特産品(しらす・ちりめんセット)、自社商品です。また、1,000株以上ですと、遠州浜名湖特産品(うなぎ、しらす・ちりめんセット)やクラウンメロン2個入りも、もらうことができます。
続いてご紹介するのは電算システム(3630)です。同社は岐阜県に本社を持つ情報システム会社で、システム開発に加え、コンビニエンスストアでの料金収納代行事業やクラウドサービスなども手掛けています。
株主優待の内容は2016年7月29日に発表されており、以下の岐阜・西濃地方の名産の中から1つを選ぶことができます。
- 明方ハムセット(60年以上続く創業時からの製法により作られたハムです)
- ドイツ製法手作りソーセージセット(数量限定ですが、本場ドイツ同様の製造にこだわった商品です)
- 国産と世界の人気はちみつセット(貴重な国産はちみつです)
- 道三吟雪花至福の詰合せ「花」(お酒)(切れ味鋭い辛口本醸造です)
- 美濃美醤 極 醤油セット(グルメ醤油です)
- 岐阜県産子持ち鮎(養殖約 10 尾、冷凍)
- 龍の瞳(お米 3キロ)
3番目にご紹介するのはシークス(7613)です。同社はEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)と呼ばれる電子機器の受託製造サービスを自動車、家電、医療機器メーカー向けなどにグローバルに提供しています。
同社の株主優待は、短期保有(1年未満)の場合はギフトカードだけですが、長期保有(1年以上連続)すると、同社の海外工場の視察を含む旅行に招待されます(抽選10名)。ちなみに、2017年の開催予定地はフィリピン工場です。
なお、シークスについてもう少し知りたい方は、個人投資家向け金融経済メディアLongine(ロンジン)のレポート『【シークス(7613)は和製EMS(電子機器受託製造サービス)企業。見どころは「ROE」と「ISO13485」】』ご参照ください。
最後はダブル・スコープ(6619)です。同社は、リチウムイオン二次電池用セパレーターの開発製造メーカーです。本社は日本ですが、工場は韓国にあり、製品はアメリカ、中国等に向けて販売されています。ちなみに、リチウムイオン電池は、スマホ、パソコン、デジカメに加え、EV車向けの需要が見込まれています。
同社の株主優待は3泊4日の韓国の工場見学ツアーです(1年以上保有、抽選5名、同伴者1名可)。往復の旅費や宿泊代等は同社負担で、中1日の工場見学以外の時間には自由行動もできるため、お得な海外ツアーとしても楽しむことができそうです。
株主優待をもらうには?
地元の名産品を味わったり、海外工場見学ツアーへの参加もできる株主優待ですが、もらうためには証券会社に口座を開設する必要があります。口座開設の簡単さや投資する際の手数料の安さを追求するならば、ネット証券がおすすめです。
株主優待を始めるのに便利な証券会社を詳しく知りたいという方は、『株主優待生活におすすめの証券会社は?』をご参照ください。
今年も残りわずかですが、12月に権利確定日※を迎える銘柄は結構沢山あります。ご自分のニーズにあった銘柄選びを、ぜひ一度検討してみるのはいかがでしょうか。
※株主優待を受けるには権利確定日と呼ばれる特定の日に株主名簿に載っていることが条件となります。詳しくは『権利確定日と権利付き最終売買日の一覧表(~2017年12月末まで)』を参考にしてください。
LIMO編集部