結局、デジタル庁は“情シス"という予感

少し視点を変えて、デジタル庁の役割や今後の行方を考察してみます。昨年末に経済産業省からDXレポート2が発表されています。

このレポートでは、日本のDXが進まない原因として「DXへの誤解があった」とも分析しています。

レポートから抜粋します。『先般のDXレポートでは 「DX=レガシーシステム刷新」など、本質ではない解釈を生んでしまった』。つまり、DXがデジタルの話にすり替わってしまい、本質である企業の変革につながらなかったという分析です。

この経産省の民間への提言を指標にデジタル庁を考えた場合、どうも行政のレガシーシステム刷新を考えているだけの気がします。つまりデジタル庁は、最近、評判の悪い“情シス(情報システム部)"なのかもしれません。

デジタル庁の一丁目一番地はマイナンバー制度のはずですが、これも“利便性"だけが強調されている気がします。この6月にデジタル庁から「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が発表されていますが、そこでも“UI・UXの実現"という話に重点が置かれています。

そもそもマイナンバー制度は、たとえば“格差が拡大して再分配が必要ならば、所得・資産の捕捉精度を上げなければ不可能"というような社会設計の基本的な考え方に紐づいているはずです。どうもデジタル庁は、レガシーシステムの話に逃げ込もうとしている気がするのです。