電子ペーパー大手のイー・インク、台湾新竹に新工場を計画

EPD増産へ23年完成

EPDは教育分野でも需要が伸びている

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 電子ペーパーディスプレー(EPD)の最大手、イー・インクホールディングス(台湾新竹市)は、新竹市にオフィスと工場を備えた新棟の建設を計画している。2023年に完成させる予定で、さらなるラインの増設で旺盛なEPDの需要に対応する。

増産投資へ設備投資を増額

 新棟の詳細は明らかにしていないが、生産ラインを6~8ライン設置するとみられる。これに伴い、21年の設備投資額を当初見込みの14億~16億台湾ドルから20億台湾ドルに引き上げる(20年実績は7.56億台湾ドル)。

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 同社は現在、台湾の林口と米ボストンにEPDのFPL(Front Panel Laminate)ラインを有しているが、20年12月に「H1」と「H2」、21年3月に「H3」と「H4」という新ラインを新竹に建設することを取締役会で決議済み。H1とH2は21年末、H3とH4は22年末から稼働させる予定で、FPLの生産能力を現有の5倍近くに高める。新棟はこれに次ぐ計画で、カラー電子書籍端末や電子棚札(Electronic Shelf Label=ESL)向けの旺盛な需要に対応していく。

需要増で好業績を継続

 先ごろ発表した21年1~3月期の業績は、売上高が前年同期比52%増の44.4億台湾ドル、営業利益は同14倍の9.7億台湾ドルとなり、売上高、営業利益、純利益いずれも過去8年間で第1四半期として最高を記録した。ドライバーICの供給に引き続き制約があったものの、電子書籍端末やESL、サイネージなど全用途にわたってEPDへの強い需要が継続した。

 4~6月期の業績は、1~3月期とほぼ同等を見込む。ICとTFTの供給に引き続き制約があるため。単月業績は、4月が前年同月比5%減の14.3億台湾ドル、5月については同5%増の12.4億台湾ドルと推移している。

オンセルタッチなど新技術も開発

 5月にはバイオ企業の英Nucleraにマイクロフルイディクス事業を売却した。両社は18年からマイクロ流体デバイスを共同開発していたが、イー・インクの米マサチューセッツ州イノベーションセンター内にNucleraが米国子会社を新設し、機能を統合することにした。本件を通じてイー・インクはNucleraの戦略的株主となった。

 同じく5月、世界初のオンセルタッチEPDモジュールを開発したと発表した。モノクロEPDの「Carta」とカラーEPDの「Kaleido Plus Print Color」に適用することができ、電子書籍端末や電子ノート向けに提案していく。

 開発したオンセルタッチ技術は、EPDカラーフィルター上にタッチパネルを形成し、その上にフロントライトとアンチグレア層を重ねた構造になっている。従来は外付けだったタッチパネルをEPD内に形成することで、白黒コンテンツのコントラスト比が30%高まり、表示品位が向上する。また、Kaleido Plusと併用すると、色のコントラスト比と彩度をそれぞれ40%、15%高めることができる。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

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執筆者
津村 明宏
  • 津村 明宏
  • 株式会社産業タイムズ社 電子デバイス産業新聞 編集長

1995年3月に関西大学経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長。