12月はその年を総括する賞が多数発表される
年末である12月は、その年1年を総括するような賞、たとえば「2016年○○○大賞」のような発表が相次ぎます。今年も既に1日は「新語・流行語大賞2016」が発表され、『神ってる』が大賞に選出されました。『神ってる』が大賞に相応しいかどうか様々な意見があるようですが、2016年を象徴する流行語の1つであることは確かでしょう。
新語・流行語大賞に限らず、こうした賞のニュースを目にすることで、改めて今年を振り返る人も多いのではないでしょうか。この先も12月いっぱいは同様な賞の発表が数多く予定されています。
近年、注目が高まっているのは「今年の漢字」
その中で近年、新語・流行語大賞と同じくらい注目を集めているのは、日本漢字能力検定協会がその年の世相を表す漢字一文字を発表する「今年の漢字」です。
1995年に始まった「今年の漢字」は、原則として毎年12月12日の「漢字の日」の午後に、京都の清水寺で発表されます。清水寺の貫主が大きな筆でササーッと書くのが印象的ですが、書き終わるまで答えがわからないので結構ドキドキします。難しい漢字の場合は、書き終わっても何の漢字だか理解できない人も少なくないようです。
今年も12日に発表される可能性が高いと見られています。
「今年の漢字」は1年間の世相を表す漢字一文字が選出
ちなみに、昨年2015年の「今年の漢字」に選ばれたのは『安』、2014年は『税』、2013年は『輪』、2012年は『金』、2011年は『絆』、2010年は『暑』でした。特徴としては、過去20回で『金』だけが2度選出されており、いずれも夏季五輪開催の年でした(2012年、2000年)。
選考方法は全国から公募する形を採用しているようです。したがって、今後も過去に選出された漢字が再び選ばれる可能性もありますし、リオ五輪が開催された2016年は『金』が3度目の選出となるかもしれません。いずれにせよ、候補がノミネートされることはなく、いきなり最終結果(大賞)が発表されます。
「今年の漢字」は翌年の株式相場と強い関連性
さて、近年になって「今年の漢字」が注目されている理由の1つには、株式市場との強い関連性があるかもしれません。
実は、選ばれた漢字一文字がポジティブな意味の場合は翌年の株式相場は上昇し、ネガティブな意味の場合は翌年の株式相場が下落する傾向が見られています(注:相場の上昇・下落は、前年の終値との比較で判断しています)。
過去20回での“強い関連性”の的中率は75%
最近の事例を具体的に見てみましょう。2010年に選出された『暑』は、この年の記録的な猛暑を反映したネガティブな意味でしたが、翌2011年の株式相場は、円高や東日本大震災により大幅下落となりました。
2011年の『絆』は震災での助け合いを示唆するポジティブな意味でしたが、翌2012年の株式相場は大幅な上昇でした。2012年の『金』もポジティブな意味で、翌2013年の株式相場はバブル崩壊後で最大の上昇率を記録しています。東京五輪開催が決まった2013年の『輪』もポジティブな意味ですが、2014年も株式市場は続伸しました。
最近で唯一の例外が、消費増税が実施された2014年の『税』です。これはネガティブな意味ですが、翌2015年の株式相場は引き続き上昇しましたので、強い関連性は該当しなかったことになります。
このように過去20回を検証してみると、そのうち15回で前述した“強い関連性”を見ることができます(注:筆者調べ)。確率としては75%ですから、かなり高い方と言えましょう。
トランプ氏の勝利で2016年の最終結果はまだ流動的
ちなみに、2015年に選出された『安』もネガティブな意味です。これは、安全保障関連法、相次ぐテロ事件で世の中の平安を祈る気持ち、マンション傾斜問題や食品問題による安全性の揺らぎなどを反映して選ばれたからです。
そして、それを受けた2016年の株式相場は、12月5日終了時点では下落しています。やはり“強い関連性”が維持されていますが、大統領選のトランプ氏勝利以降、株式相場が急回復しており、まだ最後までわかりません。2年続けて“強い関連性”は外れることになるのでしょうか。
さぁ、2016年の「今年の漢字」に選出される一文字は何になるでしょうか。2017年の株式相場の展望とも絡み合わせて注目しましょう。
LIMO編集部