安定した収入で「不況のときは特に人気が出る」といわれてきた公務員ですが、いま若者の国家公務員離れが進んでいるようです。

2021年5月12日、人事院が公表した2021年度の国家公務員採用試験への申込者数は、2020年度と比べて一般職が4.2ポイント減少、専門職(8種類)が8.0ポイント減少しています。

私はこれまで大手金融機関での勤務経験の中で1000世帯を超えるお客様からお金の相談を受けてきました。

公務員の方は「老後は退職金があるから」と気持ちの余裕がある方が多かっただけに、採用試験への申込者が減っているのは意外でした。

「公務員は老後も安泰でしょう」というイメージをお持ちの方も多いかと思いますので、今回は、特に安定しているイメージのある「国家公務員」の退職後の生活水準、そして退職金事情についてお伝えします。

気になる国家公務員の「退職後の生活水準」

周りに公務員としてお勤めの方がいない方もいらっしゃるでしょう。いたとしても、よそのおたくの家計事情はなかなか聞きにくいものですよね。

実際には「国家公務員の退職後の生活」はどのような水準なのでしょうか。

人事院「退職公務員生活状況調査」「6 家族、家計等の状況」から、令和2年度の結果をみてみましょう。

退職後公務員の世帯収入(ボーナス収入を含まない)および支出の状況

  • 平均収入月額:37万7000円
  • 平均支出月額:37万6000円

「老後2000万円問題」として取り上げられる、金融庁 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」資料中のモデル世帯の老後収入は約20万円ですから、約17万円上回ります。

しかし、人事院「退職公務員生活状況調査」「図36 世帯の家計の状況」によると、公務員といえども「十分ゆとりがある」「いくらかゆとりがある」と答えた割合は全体の2割弱にとどまっています。

反対に「毎月のやりくりに苦労しており、時々赤字が出る」「どうやりくりしても、常に赤字が出て生活が苦しい」をあわせて約4割の人が、赤字が出ると回答しています。