Sansan、名刺に留まらず請求書分野へも事業拡大 ビジネスインフラを目指す同社の今後に期待

2021年5月29日にログミーFinance主催で行われた、第20回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナー 第2部・Sansan株式会社の講演の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:Sansan株式会社 取締役/CFO/財務経理部 担当 橋本宗之 氏
元ファンドマネージャー/元ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏
フィスコ マーケットレポーター 高井ひろえ 氏

グループ概要

橋本宗之氏(以下、橋本):Sansan株式会社、CFOの橋本でございます。本日はこのような機会をいただきまして誠にありがとうございます。

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まず私から30分程度、Sansan株式会社の強みや市場機会などについてプレゼンテーションさせていただければと思います。その後、みなさまからのご質問にお答えできればと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。

はじめにSansanグループの概要ですが、設立は2007年になります。決算期が5月末ですので、明後日(5月31日)で14年目が終わるというところです。ですので、ベンチャーと呼ぶには設立から少し期間が経っていると思いまが、2019年に東証マザーズに上場して、今年の1月には東証一部に市場変更をしています。

もともと5名で創業した会社ですが、現在は従業員数が827名という規模になってきており、採用もますます加速して、現状では1,000名体制を目指しています。

ミッションとビジョン

ミッションとビジョンについてご説明します。我々は「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションと、「ビジネスインフラになる」というビジョンを掲げています。

これには、「イノベーションにつながる新しい出会いを生み出していこう」「出会いの力でみなさまが持っているビジネスの課題にイノベーションを起こしていこう」「ビジネスの出会いそのもの、接点そのもののあり方を変えていこう」という思いを込めています。

ビジョンは「ビジネスインフラになる」ですが、広く認知されて、当たり前のようにみなさまに使っていただけるようなサービスを提供していきたいと考え、ミッションとビジョンを掲げています。

セグメント概要

セグメントの概要についてです。我々にはSansan事業とEight事業の2つのセグメントがありますが、現状では売上の9割がSansan事業になっています。多くはSansan事業で構成されているのが我々の現在の状況です。

どちらも名刺を扱うのですが、名刺をデータ化して人や企業とのつながりを情報として可視化し、社内で共有する法人向けのサービスを提供しているのがSansan事業になります。ですので、Sansan事業の顧客は常に法人になります。

一方で、Eight事業はビジネスのネットワークにいわゆるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の仕組みを取り入れて、名刺をビジネスのつながりに変えるアプリ「Eight」を展開しています。

後ほどご説明しますが、Eight事業のユーザーは個人であるビジネスパーソンです。その中にはBtoBで課金できるものと、BtoCで課金できるものの両方がある状況になっています。

直近では、この2つの事業のほかにいろいろな新しい取り組みを始めていまして、1つは「Bill One」というクラウドで請求書を受領するサービスを展開しています。

ビジネスプラットフォームとしての特徴

「Sansan」「Eight」は、名刺管理という極めて基本的なビジネスニーズに応えるものであるため、両サービスともに業種や職種を問わずに利用されています。

我々のお客さまには法人や一般的な企業のみならず、官公庁や自治体、神社なども含まれます。名刺を扱う方であれば必ず存在するニーズですので、業種や職種を問わずにサービスが提供できていると思っています。

もう1つは我々のビジネスモデルそのものなのですが、名刺というコンタクト先の情報が自律的に集まるデータベースが構築されていくモデルのため、お客さまがデータベースを作っていくようなソフトウェアになっています。そのようなところも含めてビジネスプラットフォームになる要件が足り得るサービスだと考えています。

普遍的に使えるビジネスプラットフォームになることで、中長期的にも新しい展開が可能になり、いろいろなビジネス機会にアクセスできるのではないかと考えています。

ポジショニング

グループ概要の最後ですが、我々のサービスのポジショニングについてご説明します。スライド左側は、「Sansan」サービスの月次の売上高を、国内のBtoBでソフトウェアをサブスクリプション型で提供しているSaaS企業と比べたグラフになっています。

会社名は伏せていますが、クラウドサービスを提供する企業の中では、我々は最も売上が大きいと自負しています。特徴的なのは、我々はほとんどシングルプロダクトでこの規模になってきているところです。

BtoBのSaaSという分野においてはかなり知見も溜まっていますので、このようなプラットフォームの広さや基盤の強さを背景に、事業をますます拡大していきたいと思っています。

スライド右側は「Eight」のMAUを他社と比較したもので、ユーザーがどれくらい利用しているかを示す指標です。国内において、いわゆるビジネスSNSと呼ばれるものはいくつかありますが、それらと比較しても我々は国内最大のビジネスSNSになっていると言えるのではないかと思っています。

名刺の持つユニークな価値

ここからは、今までの会社の概要に加えて、我々の強みや成長機会について、5つの章に分けてご説明します。まず、「高成長を続けるユニークなSansan事業と強固な競争優位性」についてです。

我々のサービスは名刺を軸としたものですが、なぜ私たちが名刺に注目したのかと言いますと、名刺には大変ユニークな価値があると考えているからです。

名刺はビジネスの出会いのシーンでほぼ必ず交換されるものと思っています。そこには名前、会社名、組織名、役職名、連絡先など、その人を表す正確な情報がきちんと記載されていて、名刺によってその情報がブレることはほとんどなく、多くの方がある程度同じ情報を記載しています。それがデータベースとしての価値を高めていると思っています。

直近は新型コロナウイルスの影響もあって、名刺交換数が減る局面もありますが、ミーティングがオンラインで行われていてもビジネスコンタクトを交換する要求は当然あります。それを補完するサービスも立ち上がっており、我々が顧客のためにデータベースを作っていく営みは変わらないと思っています。

「Sansan」サービス概要

「Sansan」の基本的な機能ですが、スライドに記載のとおり、現在では名刺を軸にたくさんの機能を携えています。基本的には社内にある名刺を一括で管理して、必ずしも個人だけではなくて企業もその名刺情報を資産として有効活用できるのが我々の提供価値と思っています。

スライド左側に写真を載せていますが、「Sansan」のユーザーが打ち合わせから帰ってきたらタブレットを使って名刺をシュッとスキャンすると、あっという間にその名刺がデータ化されて、クラウド型のアプリケーションを通じて名刺管理機能に反映されます。

ご自身の「Sansan」画面でログインすると、その名刺情報を履歴とともに見ることができて、同僚の名刺交換情報も見られます。

各社員単位での名刺管理だけではなく組織での共有も可能ですし、最新の人物情報、例えば名刺交換した相手が異動や昇進、転職したという情報が通知される人事異動ニュースの配信や、一括メール配信機能も取り揃えており、幅広い顧客管理機能を備えています。

名刺を管理しているだけではなくて、顧客管理機能やコンタクト管理機能などいろいろなことができる仕組みがすでに整っていると思います。

名刺データ化精度99%以上を実現する仕組みとテクノロジー

我々のユニークさを支えるもう1つの特徴的なビジネスモデルについてです。我々は顧客ニーズに応える利便性によってシェアNo.1を誇っているのですが、この成長を支えているのが大量の名刺を迅速かつ正確にデータ化する仕組みとその技術だと思っています。

名刺をデータ化すると言いますと、直近ではいわゆる「AI-OCR」など、自動で文字を識別する技術も出てきてはいます。しかし、例えばスマホで写真を撮って名刺画像を残そうとすると、手ブレで名刺の形や背景の色、文字がはっきり見えないことが非常に頻繁に起きます。

そのような状況であっても、我々は創業以来14年間、できるだけ高い精度で名刺をデータ化する技術を培ってきたと思っています。

具体的には、機械で自動的に行う部分と人の目を入れてチェックする部分をうまく組み合わせることで、できるだけ早く、大量に、正確に名刺情報をデータ化することが、我々の競争力を支える1つのシステムだと思っています。

名刺1枚当たりのデータ化費用の推移

現在の名刺のデータ化フローは機械と人による組み合わせになっています。しかし創業時の、1月、3月、4月の名刺交換がたくさん行われる繁忙期には、社員全員で名刺のデータ入力を行い、人手にかなり寄っていました。

その後、研究開発部門を立ち上げて機械学習や画像認識技術を入れて、人的リソースを最大限効率化できる体制を作ってきたことから、1つの重要なKPIである名刺1枚当たりのデータ化費用は創業以来20分の1ほどに低下してきています。

同じことを他社が行おうとすると、おそらく我々が創業時に行っていたところから始めなくてはいけないため、コスト競争力という意味でも我々はかなり高いものを持っているのではないかと思います。

市場シェアと盤石な顧客基盤

結果として、我々自身が名刺管理市場を作りあげてきたと思っています。スライド左側の「市場シェアと認知度」では、83.5パーセントのシェアがあると記載しています。我々としてはこちらをなんとか100パーセントにするというよりも、名刺管理市場そのものを我々がしっかり定義して、拡大させていくような心持ちで行っています。

スライド右側には、「盤石な顧客基盤」ということで代表的な会社のロゴを記載していますが、企業だけではなくて、官公庁やさまざまな業態のお客さまを有しています。記載しているのは大企業のみですが、実際は7,500社のうちの多くが中小企業ですので、そのような意味でも広くご利用いただいているサービスだと思っています。

直近12か月平均解約率

我々のもう1つの競争優位性は、解約率の低さだと思っています。解約率というのは、毎月お客さまがどれだけ我々のサービスをキャンセルしていくかを売上高ベースで計算したものです。2020年5月期第4四半期の終わりでは0.6パーセントということで、ほとんどキャンセルされないのが我々のサービスの特徴です。

我々のサービスがお客さまの「Sansan」のシステムの中にデータを溜め込んでいくというモデルであることが、解約されない理由の1つではないかと思っています。

売上高・契約件数・契約当たり売上高

スライドのグラフは、Sansan事業の売上高とKPI推移になっています。スライド左側は売上高のグラフで、「ストック売上高」がいわゆるリカーリングの定常的に入ってくる売上になります。「その他」がある程度変動性のある売上になっています。過去5年で売上の規模は4倍と高い成長率を誇っています。

スライド右側は契約件数を記載していますが、およそ2倍くらいの規模になってきているのが見て取れると思います。

日本国内における潜在市場規模(TAMの考え方)

2つ目の章ではSansan事業の成長ポテンシャルについてご説明します。まず、ターゲットとする市場についての考え方です。先ほど「市場シェアは83.5パーセント」とお伝えしましたが、この市場自体が拡大する余地は十分に残されているというのが我々の考え方です。

日本国内で、おそらく名刺を持っていると考えられる総従業者数に占める「Sansan」の利用割合は約2パーセントと、まだまだ少ない数字になっています。

スライドの図で表しているとおり、企業数ベースでは、大企業は15パーセントくらいお使いいただいていますが、それでも従業員数ベースで2.7パーセントに留まっているため、我々のサービスが拡大する余地はまだまだあると思っています。

もちろん名刺管理サービスを必要としない方もいると思いますし、利用率を100パーセントにするのは事実上難しいと思いますが、少なくとも10倍から20倍のポテンシャルは秘めているのではないかと考えています。

成長戦略:契約件数と契約当たり売上高の拡大

当たり前と言えば当たり前ですが、Sansan事業の売上を分解していくと、契約件数と契約当たりの売上高に分解されます。この両方を最大化させていくことが、成長を実現していく方法だと思っています。

契約件数を拡大するために、ここ2年から3年は特に大企業向けに営業体制を強化しています。そこに新しいサービスやオプションを乗せて、訴求できる顧客層を増やすという意味で、契約件数を拡大していきたいと思っています。

契約当たりの売上高の拡大という意味では、先ほどのグラフのとおり、「社内の一部でしか使っていません」「営業部門だけで使っています」「役員だけで使っています」という状況も多々見られます。「全社で名刺を管理してこそ、より意味がある」ということをプレゼンテーションして、顧客当たりの売上を拡大していくことが1つ挙げられます。

もう1つはアップセルということで、オプション機能を付加してアドオンしていき、「Sansan」のサービスの価値を上げていくことで、1社当たりの売上を上げていきます。それらによって、この2つのKPIを最大化していきたいと思っています。

成長戦略:ビジネスプラットフォームとしての価値向上

冒頭で、「『Sansan』はビジネスプラットフォームになりたい」とお伝えしましたが、すでにいろいろな取り組みを行っています。

例えば、スライド左上に記載のとおり、自社開発で「Sansan Data Hub」「同僚コラボレーション」という機能を作りました。こちらは高度な名寄せができる特別機能を作ったり、外部のサービスと連携して、お客さまが蓄えているデータを他のサービスと連携させて使う取り組みを多数行っています。

このような取り組みを通じて、よりビジネスインフラやビジネスプラットフォームとしての価値を上げていきたいと思っています。

「Eight」サービス概要

3つ目は「Eight」の事業についてです。Eight事業では、名刺管理機能を備えたライフタイムで使えるアプリとして、国内ビジネスSNSで最大級のユーザー数を有するビジネスプラットフォームを展開しています。

「Sansan」と同じく、「Eight」では名刺をスキャンするだけで自分や交換相手の名刺情報が正確にデータ化される仕組みになっています。利用ユーザーは自分の名刺を登録することで、自身のプロフィールのページが作成されて、その管理が可能になります。

名刺交換した相手の名刺を登録すると名刺管理機能が活用できます。SNSを通じてつながった相手の情報に変更があった場合には、登録した名刺情報が自動で最新の状態に反映されたり、通知が届く仕組みになっています。

さらに直近では、興味のある企業の情報収集や、転職活動にも利用できる機能も備わっています。

マネタイズプラン

「Eight」で提供しているサービスはスライドのとおりです。具体的なものとしては、企業向けのBtoBサービスと個人向けのBtoCサービスに分けられます。

BtoCサービスは個人で課金できるもので、基本は無料で使えます。課金した場合には追加機能が利用できるようになっています。

BtoBはマネタイズのプランがいくつかあるのですが、例えば「Eight 企業向けプレミアム」はいわゆる「ミニSansan」なのですが、従業員が5名から20名の小規模の事業を対象にして、社内で名刺を管理・保有できるという極めてシンプルなサービスです。

その他に、ビジネスイベントを開催したり、広告サービスや採用サービスを行ったり、いくつかマネタイズの道があるというのが「Eight」の現状です。

売上高・ユーザー数

マネタイズプランを推進した結果、Eight事業は継続的に売上を拡大してきており、直近でマネタイズにしっかり取り組み始めてからは急拡大していると思います。

特に2019年5月期からBtoBのサービスを強化したため成長が加速し、セグメント全体の業績を牽引しています。スライド右側のグラフは「Eight」ユーザー数の推移を示していますが、サービスを開始して以降、着実に伸びてきています。

デジタルトランスフォーメーションを実現するサービス

4つ目ですが、新たなサービスについてご説明します。新しいサービスに対する我々の基本的な考え方ですが、特に直近1年は新型コロナウイルスの影響もあって、国内企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)がさらに加速するのは疑問の余地がないところと思います。

我々が考えるDXは、今あるアナログ情報や、これまで蓄積していたビジネス情報を活用できる状態にするのが第一歩だと思います。名刺というもので言いますと、創業以来、紙の名刺をデータ化することに向き合って、今では他社の追随を許さないようなオペレーションノウハウを積み上げています。

名刺というものを縦に掘っていった結果、それをプラットフォームにした時、アナログ情報のデジタル化だけではなくて、顧客にとっていかに有効に、より意味のあるものとして使っていただけるかというところまで、「Sansan」名刺管理サービスは進化してきています。もはや名刺管理だけではなくて、そこにまつわるいろいろな新しい機能が提供できていると思っています。

加えて、そこで培ってきたアナログなものをデジタルにする技術、ノウハウ、仕組み、オペレーションを他にも転用できるのではないかと気づいて始めたのが、請求書と契約書のサービス「Bill One」「Contract One」になります。

これらはまだ入り口でして、請求書や契約書などアナログなものをデジタルに変えていくことを始めたばかりですが、このような考え方でサービス、ソリューションを提供することで、国内企業のDXに資するようなものができるのではないかと考えています。

特に請求書分野については直近でビジネスも立ち上がってきましたので、少しご説明したいと思います。

請求書分野:「Bill One」サービス概要

「Bill One」は、我々のクラウド請求書受領サービスです。請求書は多数の拠点や多数の部門に、ある時は紙で届いて、ある時はメールで届いて、ある時はPDFで届くなど、バラバラのフォーマットでバラバラに届くのが受領に関する課題でした。

それらすべてをオンラインで受領することが可能になるというのが「Bill One」のサービスになります。紙の請求書は「Bill One」のスキャン代行センターが代わりに受領して、99.9パーセントの精度で短時間でデータ化します。

メールに添付されたPDFなどの請求書についても、「Bill One」が専用のメールアドレスで受領して、同じようにデータ化します。

よって、請求書を受け取る企業は、受取先を「Bill One」に変更するだけで、あらゆる請求書をオンラインで受領できるようになります。

コロナ禍にあっても、紙の請求書が会社に少しでも届く場合には、経理担当や事務担当の方がオフィスに行かなければいけません。しかし、この「Bill One」を利用すると、オフィスに行ったのとまさに同じ状態で請求書をオンラインで受領できるというのが、このサービスの特徴です。

請求書分野:「Bill One」契約件数の推移と潜在市場規模

今後の「Bill One」の成長イメージですが、スライド左側に契約件数を記載しています。2022年5月末までに契約件数1,000件を目指しています。直近でも、四半期ごとの成長率がかなり高くなっていまして、順調にいけば1年後までに1,000件を達成するのではないかと思っています。

より特徴的なのは、1,000件に到達したとしても、「Bill One」へ請求書を送る企業や「Bill One」を意識せずに使っている企業は契約件数よりも桁違いに多いことです。

我々自身も月数100件の請求書を受け取るわけですが、そこに送ってくる会社の数は700件くらいになります。「その潜在的なビジネスモデルの拡大や潜在的なネットワークを使って何かできるか」という観点では、「Bill One」事業はもう少しポテンシャルがあるのではないかと思っていますので、今後の1つの事業展開の楽しみとしてとっておきます。

イベント分野:イベントテックサービスのポートフォリオ

別の新しい取り組みとして、イベントテックを立ち上げています。こちらはセグメントというよりもソリューションの集合体ですが、イベントテックという言葉自体、あまり馴染みはないかもしれません。

国内ではBtoBにまつわる展示会やカンファレンス、セミナーなど、いろいろなビジネスイベントが開催されており、企業のマーケティング活動、営業活動、セールス活動として、普遍的にいろいろなところで行われています。

ただし、ビジネスイベントにもいろいろな課題があって、例えば新型コロナウイルスの影響でオフラインで開催できなくなったり、いろいろなイベントを開催しても結局は売上につながらないなどがあります。

それらの課題に対して、我々は「Eight」や「Sansan」、あるいは技術を使ったりし、そのイベントの開催前から開催後のフェーズにおいて各種ソリューションを提供していきます。昨年には、中央に記載している「Sansan Seminar Manager」をリリースし、新しい集客を獲得し始めているというのが現状です。

過去5か年の連結業績

最後の第5章は、連結業績と今後の見通しについてご説明します。こちらは、過去5年の連結の業績について示したグラフです。スライド左側が売上高で、過去5年ではCAGRで40パーセントを超える高成長を実現しています。

スライド右側の売上総利益については、売上高よりも高い成長率を示しています。我々はスケールメリットが効くビジネスモデルだと思っていますので、売上高よりも高い粗利の成長率を示しているというのが現状です。

直近の連結実績概況

直近の第3四半期である12月、1月、2月の連結業績についてです。今年の1月に一部の地域で緊急事態宣言が再発出されたため、ビジネスの場での名刺交換は当然減る傾向にあり、多少のマイナス影響が生じたのですが、総じて堅調に推移してきたと思っています。

第3四半期までの累計では、売上は前年同期比で21.5パーセント増で、営業利益についてはこの時点ですでに昨年を上回っています。広告宣伝費のタイミングなどにもよりますが、昨年よりも大幅に改善していることが見てとれると思います。

今期の連結業績見通し

最後に、今期の業績見通しです。新型コロナウイルスの影響でSansan事業の契約獲得には一定のマイナス影響が生じていますが、業績見通しに対してはおおむね順調に推移してきています。

引き続き、中長期的な売上高の成長に向けて、積極的に人の採用や広告宣伝費への投資を行っていきたいと思っています。以上、私からの説明を終了します。どうもありがとうございました。

質疑応答:「Sansan」の解約の理由について

坂本慎太郎氏(以下、坂本):13ページの「Sansan」の解約率ですが、かなり低い水準です。今、底ばいで推移しており、解約率が低いのは当然ですが、低い中でも解約する理由があれば教えてください。

橋本:直近1年間で言いますと、新型コロナウイルスの影響もあってやや特殊な事情になりますが、「どうしても財務的に厳しい」という方ももちろんいましたので、そのような要因もあると思っています。

通常は、「導入してみたものの利用が促進できなかった」「会社の中でみんなに使ってもらえなかった」というのが、一番の理由になっています。

坂本:基本的には使う方が多いから、解約率はこのレベルということですよね。

橋本:そうですね。できるだけ使ってもらえるように我々の営業人員が会社に行って「このように使ってください」と啓蒙活動を行ったり、あるいは、使われていないとアラートが出る仕組みがあるため、使われていない時は「このように使ってください」と積極的にアピールしています。

そのような活動を行っているため、使われていないというのはあまり想定されないのですが、まれにこのような状態になってしまった時は解約されます。

坂本:もしも導入する場合は、大企業はいきなり全社で導入するのではなくて、1部門、1部署からというかたちも当然ありえるため、その啓蒙パターンをそのまま使うというイメージですか?

橋本:そうですね。そのようなパターンは多いです。やはり、いきなり全社で導入するというのはなかなかありません。

坂本:そうですよね。

橋本:IT部門の方々にもハードルが高いみたいで、まずは小さく始めて、だんだん広げていくようなかたちです。

質疑応答:「Eight 企業向けプレミアム」について

坂本:21ページのEight事業についてお伺いします。有料の企業向けプランは、どちらかと言いますと「Sansan」と競合したり、バッティングする部分もあると思います。小規模の会社は「Eight」を使って、それより大きいところであれば「Sansan」を使うというかたちになるのですか?

橋本:そうですね。機能はかなり絞り込んでいまして、使い方もけっこう違います。もちろん、名刺を共有する部分においては同じですが、多機能がそこまで必要ない場合は「Eight」の「企業向けプレミアム」もご利用いただいています。

大企業であっても「本当に一部の部門だけで使いたい」という場合は、「Eight 企業向けプレミアム」を使うケースもあります。

質疑応答:Eight事業のBtoBサービスの売上が伸びた理由について

坂本:Eight事業の最近の伸びについてです。2020年5月期のユーザー数を含めた伸びは前年並みですが、BtoBのサービスの売上もかなり伸びています。売上が伸びたきっかけをもう少し詳しく教えてください。

橋本:Eight事業が「Sansan」と少し違うのは、売上の一部はサブスクリプション型の定額収入が得られるようになっていて、残りはワンタイムで売上が立つようなモデルになっています。

特に、21ページのスライドで、上から3番目に記載のビジネスイベント「Meets」は、他の名前でも行ったりしていますが、「売り手と買い手をマッチングさせる」などのイベント事業を行っています。

イベントを開催したタイミングで売上がパッと立ったりするため振れ幅があるのですが、ガッと伸びているのはワンタイムの売上が大きく伸びたタイミングが主です。

質疑応答:「Bill One」について

坂本:「Sansan」のサービスは16ページを見る限り、カバー率はまだまだ伸びると思っていて、成長の可能性はまだあると思います。

その中で「Bill One」についての紹介がありましたが、請求サービスは競合他社が多いと思います。この中で御社がとる戦略を教えてください。加えて、「Sansan」を核にした成長パターンのイメージについてもお願いします。

橋本:請求書分野と言いますと、かなりいろいろなソフトウェアやサブスクサービスがあると思いますが、細かく見ていくと請求書を送る側のサービスがたくさんあって、そちらはかなり競争が激しいです。

しかし、請求書を受ける側に向けたサービスは実はあまりなくて、直近で何社か我々と同じような仕組みで行っている会社もありますが、それほどたくさんいるわけではないため、ユニークなビジネスになっていると思います。

我々が受領側に着目したのは1つのブレークスルーがあってのことですが、そのような意味では、目の前にある課題感や市場の大きさに比べると、それほど競争が激しい状況ではないと思います。

質疑応答:今後の成長に向けての戦略について

高井ひろえ氏:「Sansan」と「Eight」を核に、成長に向けてすごくきれいな事業ポートフォリオを整えていますが、今後の成長に向けて足りないと考える分野や、M&Aを考えている分野がありましたら、お話しできる範囲で教えてください。

橋本:「Sansan」ビジネスは、ユーザーがデータを蓄えるというモデルになっています。加えて、「Eight」は280万くらいのユーザーがいます。

そのようなものを活用して、我々がなんとかしたいことに加えて、外のベンダーや会社から「このようなことを一緒にできませんか」とお声かけいただくことは非常に多いです。

ですので、時にはM&Aのお話にもなることもありますが、そのような方々と連携することで、より多くの新しいお客さまに「Sansan」のサービスをまとめて使っていただけることも想定されます。

今のお客さまに対しても、いろいろな追加のサービスを提供できるようになると思いますし、非常に他社連携しやすいビジネス環境だと考えています。

質疑応答:イベントテック分野に参入した背景について

坂本:イベントテックについて、進捗があったら教えてください。イベントテック分野に参入した背景と経緯も含めてお願いします。

橋本:我々自身もかなりいろいろなイベントを開催してきました。例えば、Sansan事業を展開するためにもいろいろなイベントやセミナーを開催して、ユーザーやこれからユーザーになる方々を招いて説明会を行ったり、「日本企業のDXとは」のような抽象的なテーマで行うこともあります。

その中で、先ほどご説明したとおり、イベントを開催する前と、開催中、開催後のそれぞれで課題があったと思っています。

イベントを開催する最終的な目的は、「いかに参加者に製品やサービスを買っていただけるか」ということだと思うため、「Sansan」が使っている基盤が大いに活用されるのではないかと考えています。

例えば、展示会やイベントでは入口で名刺を渡す機会がたくさんあると思うのですが、我々の持っている技術を使うと、QRコードを読み取るだけで名刺情報をパッと送ることができます。

そうすると、受け取る側もでたらめな参加者情報ではなくて、会社名やアドレス、本名など、いろいろな情報がきっちり入ってくるため、後の営業活動やマーケティング活動にさらに活用できるようになります。

それはまさに「Sansan」が行ってきたことですので、それを1対1のビジネスの出会いの場から、1対nのような展示会やカンファレンスに広げたというのが、イベントテックのもともとの背景です。

直近の数字はお伝えできないのですが、売上も立ってきていまして、大きな受注も取れ始めています。「Sansan Seminar Manager」を中心にSansan事業の営業人員などを使って、すでに販売を拡充しているのが「Eight」になります。

質疑応答:「Bill One」契約件数の目標について

坂本:「Bill One」の契約件数の推移についてです。足元はかなりよいかたちで動いていますが、2022年5月期第4四半期までに1,000件以上までいくパスと言いますか、このまま既存の営業を行っていたら達成できるのかについて教えてください。なんらかのフックがあれば達成できるのかというところも含めて、イメージをお願いします。

背景としては、スライド右側の図のように、かなりたくさんの企業があると思うのですが、使える企業数はけっこう限られてくると思います。実際は中小企業の中でも請求書をある程度発行できるところしか使えないのではないかと思うのですが、「いや、違うよ」というのもあればお願いします。

橋本:「Bill One」は、ちょうど1年くらい前に立ち上がったばかりのサービスです。直近はかなり採用もでき始めているのですが、半年前は1人や2人で販売していました。

現在は事業部にして数十人が揃ってきているため、しっかり営業活動やマーケティング活動を行えば、この契約件数は達成可能ではないかと考えています。特別な打ち手なくして、当たり前のことを当たり前のように行っていき、Sansan事業で培った営業やマーケティングのノウハウを使っていけば、十分に達成可能だと思っています。

実は、小規模、中規模の企業向けに、請求書のやりとりの枚数をある程度限定した上で、いわゆる無料プランのアナウンスも行いました。

坂本:よいですね。

橋本:そちらをまず使っていただいて、そこから利便性をおわかりいただければ、請求書の枚数が増えていった時に課金するというモデルで発表していますので、まずは面をとっていくというようなマーケットです。

坂本:「Sansan」のユーザーに対してのサービスは、今後いろいろ考えられるとは思うのですが、請求書以外にシナジーがあるものがあれば教えてください。

橋本:世の中には紙で行われているやりとりがものすごくたくさんあると思っています。1つが契約書ですが、直近ではクラウドサイン等がありますが、とはいえ、まだまだ紙で流通しており、これに対するソリューションも用意し始めているところです。今お話しできるのはこの事例だけですが、他にも手書きで行われているものがたくさんあるため、あらゆるビジネスチャンスがあると思っています。

質疑応答:富士通グループの「Sansan」の導入について

坂本:富士通グループに「Sansan」の導入が決まったというニュースがあり、かなり件数が増えると思っています。今後、「富士通が導入するなら、うちもやるよ」というのがあるかどうかわからないですが、本業の「Sansan」の導入の加速のイメージと手応えがあれば教えてください。

橋本:富士通グループにかなりの規模でご利用いただいたというのは、我々にとってとても大きな自信になりますし、1つのマイルストーンになるような案件だったと思います。

かつて三井住友銀行に全社導入しましたが、金融機関はセキュリティや安全性にとても厳しい中でしっかり審査して、それをパスして使い始めていただきました。その時も、「あの会社が使っているのだから安全だよね」というブランドや安心感はすごく出てきましたので、富士通グループにご利用いただけることについても、そのような追い風にはなるのではないかと考えています。

質疑応答:自治体との引き合いについて

坂本:12ページの事例紹介のところです。多くの方が名刺を使う可能性があるというのは当然だとは思うのですが、官公庁はけっこう「おお」と驚きました。

実はホームページには北九州市の事例が紹介されていまして、けっこう興味深いものがありました。北九州くらい大きい自治体であれば名刺の予算があるのかもしれませんが、渉外対応するところ以外は名刺の予算すらなくて、自作して配る方がけっこういて、そのような名刺を僕は何十枚も持っています。

北九州は中を見ると工業が盛んですので、誘致を含めたいろいろなところと付き合いがあるというのはありますが、工業団地には空きがあるところもたくさんありますし、自治体の企業誘致を含めた企業との連携も必要になってくると思います。最近は北九州市以外にも、自治体の利用と引き合いは増えているのでしょうか?

橋本:直近1年くらいにおいては、例えば茨城県や仙台市、あるいは経済産業省の事例も出てきていまして、かなりお引き合いいただいている状況です。我々の中でも、営業部門の中に公共部門を担当するチームを作って対応していますので、まだまだ拡販できる余地があると思います。

質疑応答:請求書関係の強みについて

坂本:お話の中で、請求書関係の電子化事業の強みや競合他社への強みとしては、「今のプラットフォームを無料で使えるようにする」というのがありましたが、それ以外にも御社が他の会社を見て「実際、これができるよ」という強みがあれば教えてください。

橋本:請求書を受け取る方のリアルな悩みとしては、請求書がだいたいギリギリのタイミングできて、「毎月何日までに請求書を経理部門に出さなきゃいけない」など、時間に追われることが挙げられます。

例えば、データ化する時に時間がかかったり、データの内容を間違えることが起こってしまいます。あるいは、迷惑がかかってしまうため、いかに早く正確にデータ化するかというのは非常に大きな優位性があると思っています。

我々が名刺で培ってきたノウハウは、他社に負けないようなノウハウ、仕組み、オペレーションにはなっていますので、それを横展開することで早く正確にお届けできるところは、サービスのクオリティとして自信をもって提供できていると思います。

記事提供:ログミーファイナンス

参考記事

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