鳥インフルエンザが発生
農林水産省は2016年11月28日、青森県のアヒル農場および新潟県の採卵鶏農場において、家畜伝染病である高病原性鳥インフルエンザが疑われる事例が確認されたと発表しました。青森県の農場ではアヒル約1万6,500羽を、新潟県の養鶏場ではニワトリ約31万羽を殺処分するとともに、周辺の養鶏場のニワトリや卵の移動・出荷禁止などの措置が取られています。
なお、農林省によると、これまで日本では鶏肉や卵を食べることで鳥インフルエンザウイルスが人に感染した事例は報告されていないとのことです。また、迅速な対応が図られているため、この問題に関して過度に不安感を持つ必要はないと考えられます。
株式市場の反応も比較的冷静
では、株式市場の反応はどのようなものだったでしょうか。鳥インフルエンザは、10年以上前から毎年この時期にニュースになっているため「鳥インフル関連銘柄」というキーワードがあるぐらいですが、筆者が調べた限り、11月29日時点で動意づいていた銘柄は限定的であり、目立ったのは以下の4銘柄だけでした。では、具体的に見てみましょう。
アゼアス(3161):同社は、防護服、たたみ資材、アパレル資材の製造・販売を行っています。感染拡大を防ぐ消毒作業のための防護服を手掛けていることが注目されている模様です。また、同社は2016年11月25日に2017年4月期上期(5-10月期)の業績予想を赤字予想から黒字予想へ上方修正していることも注目を集めている一因ではないかと推測されます。
UMNファーマ(4585):同社は2012年に東証マザーズに上場したバイオ医薬品の研究・開発・製造を行う創薬ベンチャーです。インフルエンザワクチンの開発を行っていることが物色を集めた背景と推測されます。ただし、上述したように、日本では鳥インフルが人間に感染したことはまだないという点には注意が必要でしょう。
ダイワボウホールディングス(3107):同社は、ITインフラ流通事業、繊維事業、産業機械事業などを展開しています。今回は繊維事業に含まれる高機能衛生マスクが注目されている模様です。鳥インフルとは別に、この時期はインフルエンザが流行するタイミングであることも注目される背景にあると推察されます。
大幸薬品(4574):同社は「正露丸」で有名な医薬品メーカーです。ウイルス除去効果のある衛生管理商品「クレベリン ゲル」などの需要拡大の可能性が注目されている模様です。
まとめ
2017年の干支は酉(トリ)ですので、これから何かと“にわとり”の話題を目にすることが多くなるでしょう。ただ、鳥インフルについては被害が拡大せずに、早期に回復に向かうことを願うばかりです。また、鳥インフル関連銘柄の物色がそれほど強くなく、広がりもないということは、むしろ朗報として受け止めたいと思います。
とはいえ、この時期は風邪をひきやすい時期です。外出から帰宅した時はうがいを必ず行うなど、日頃からの健康管理に、いっそう心がけたいところです。
LIMO編集部