答えはノーです。この「2000万円」には盲点がいくつかあるのです。

「老後2000万円」の落とし穴

一つ目は「介護費用」です。

実は、この「2000万円」の内訳には、介護にかかる費用が含まれていません。

介護費用に関しては、老人ホームに掛かる費用をLIFULL介護のデータをもとに、平均入居期間の5年で計算すると、サービス付高齢者向け住宅で約1000万円、有料老人ホームで約1900万円かかる計算になります。

二つ目は「住居費」です。

さきほどの「実支出」の内訳をみると、住居費が持ち家であることを前提として、約1万4000円で計算されています。

老後も賃貸住宅に住む予定の世帯であれば、家賃分との差額を、「2000万円」とは別に用意しておく必要がある、というわけです。

「ゆとりある老後」には、さらにお金がかかる

ちなみに、「ゆとりある老後」を過ごしたい場合は、公益財団法人生命保険文化センターの意識調査よると、ひと月「36万1000円」の生活費がかかるという結果が出ています。

この場合、「老後2000万円問題」の計算式にあてはめると、約5400万円のお金が必要になってくる計算になります。

これにプラスアルファで介護費用が必要となる可能性もあるわけですね。

よって、老後資金は、少なくとも3000万円、多い場合は5000万円以上、準備しておく必要があると考えることができそうです。