ロイヤルホスト、24時間営業全廃へ
2016年11月17日付けの朝日新聞が、ロイヤルホールディングス(8179)はファミリーレストラン「ロイヤルホスト」について「来年1月までに24時間営業をやめることを決めた」と報じました。同社は既に深夜営業のとりやめを進めており、全国222店舗(国内直営、2016年9月末)の中で残る2店も2017年1月までにやめるということです。
この背景として深夜の利用客の減少、従業員の賃金上昇と労働の長時間化を挙げています。今後は深夜・早朝の営業時間を柔軟に適正化していくことが期待できそうです。
株価は好感
株式市場はこのニュースを好感しています。報道前日の同社の株価の終値は1,809円でしたが、報道直後から上昇し、2016年11月28日の終値は1,922円となりました。この間の株価上昇率は+6%で、TOPIXの上昇率+3%をしっかり上回りました。
既定路線に沿った報道内容だったと思いますが、株式市場ではファミリーレストランという成熟市場で運営の合理化を進める意思決定を好感したと解釈できるでしょう。
深夜営業廃止、広がるか
マクロ的に見ると、少子高齢化が進み、深夜の時間帯に外食をするニーズは低下していると言えるでしょう。従来の外食店同士の競争に加え、冷凍食品やコンビニ弁当などもライバルになっているのかもしれません。
一方、深夜の人手不足の問題は改善しているとは言えません。数年前、深夜のオペレーションを1人で切り盛りする「ワンオペ」の過酷さが話題になったことが思い出されます。
こうした事業環境であれば、思い切って深夜営業をやめるのも合理的です。しかし、対策はこれだけではありません。タクシーのような深夜割増料金制度、使い捨て容器による業務の省力化なども選択肢に入るはずです。深夜はドローン配送だけにする、こんなアイデアもありでしょう。
しかし、現実には各社は昼間とまったく同じ商品を昼間と同じ値段で提供し、他社の脱落を待っています。勝ち残りの残存者利益を狙って体力勝負を続けているように思います。これは、一見消費者には便利な話という気がしますが、仮に深夜営業のコスト高を昼間の価格に転嫁されているなら、昼間しか利用しない多くの消費者にとってはありがたくない話です。
筆者としては、「深夜営業をやめるかわりに、昼間の商品を従来より安くする」というような企業が出てくればいいと考えますが、皆さんはいかがでしょうか。
LIMO編集部