「会社員と公務員、働く環境としてどちらが恵まれているだろう・・・」誰もが一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

給料の上昇ペースはなだらかであるものの、安定して給料が上昇していくことから、自分の子どもには公務員になってほしいと望む方も多いかもしれませんね。

何かとうらやましがられることの多い公務員ですが、今回は公務員の退職金について、民間企業の退職金と比較しながらチェックしていきます。

地方公務員の退職金は2000万円以上!

総務省が2019年4月に公表した「2019年地方公務員給与の実態」をもとに、地方公務員一人あたりの退職金を年齢ごとに確認していきます。

全地方公共団体

  • 56歳勧奨退職者…2125万1,000円
  • 58歳勧奨退職者…2141万6,000円 
  • 60歳定年等退職者…2133万円

定年間近の56歳から見ていくと、おおむね2100万円の退職金が得られることがわかります。

では次に、退職時年齢ごとの平均を、団体区分別にみていきましょう。

56歳勧奨退職者

  • 指定都市…2174万1000円
  • 都道府県…2147万4000円
  • 市…2120万5000円
  • 町村…2000万2000円

58歳勧奨退職者

  • 市…2154万3000円
  • 都道府県…2150万4000円
  • 指定都市…2111万6000円
  • 町村…2068万1000円

60歳定年等

  • 都道府県…2183万9000円
  • 市…2126万8000円
  • 指定都市…2119万3000円
  • 町村…2008万1000円 

どの団体区分でも、2000万円を超える退職金が得られるのは間違いなさそうです。

2000万円といえば、かつて金融庁のレポートで話題になった「老後2000万円問題」を思い出す方も多いのではないでしょうか。

「老後は年金以外に2000万円が必要」との報告がなされたことで、そのショッキングな内容に当時はニュースでも取り上げられました。

退職金だけで「2000万円」を得られるわけですから、公務員は「2000万円問題」をひとまずクリアしたといえるのかもしれませんね。

国家公務員の退職金もチェック

つぎに、国家公務員の退職金も見ていきましょう。

2020年11月に人事院が公表した「国家公務員給与の実態」によると、国家公務員の人数は約58万6000人、そのうち人事院の給与勧告の対象となるのは、「給与法の適用を受ける一般職の国家公務員」の約27万8000人です。

公務員の中でも特別給与の高い職種である内閣総理大臣や国務大臣、省庁の職員などは、調査対象から外れています。 

国家公務員の中でも一般的な

  • 「行政職俸給表(一)」の適用者
  • 35年以上勤務した場合

以上の条件で、退職事由別に退職金額を確認していきましょう。

人事院の「退職手当の支給状況(令和元年(2019年)度退職者)」を参考にします。

行政職俸給表(一)適用者で勤続年数が35~39年の場合

平均支給額…2206万2000円

〈内訳〉

  • 定年退職…2188万1000円(平均支給額)
  • 応募認定(※)…2346万6000円(平均支給額)
  • 自己都合…1782万7000円(平均支給額)
  • その他…2074万円(平均支給額) 

※「応募認定」とは
「早期退職募集制度」にもとづく退職のこと。早期退職募集制度は、職員の年齢別構成の適正化を通じて組織の活力を維持することなどが目的で、2013年11月1日から運用開始。45歳以上(定年が60歳の場合)の職員が対象です。

参考:内閣人事局「早期退職募集制度について」

行政職俸給表(一)適用者で勤続年数が40年以上の場合

平均支給額…2166万7000円

〈内訳〉

  • 定年退職…2154万円(平均支給額)
  • 応募認定…2300万6000円(平均支給額)
  • 自己都合…1988万1000円(平均支給額)
  • その他…2239万6000円(平均支給額) 

行政職俸給表(一)適用者は、自己都合に該当せず35年以上勤めた方ならば、退職金を2000万円以上受け取ることができそうです。

公務員の退職金は民間企業より高い!

ここまで公務員の退職金について、地方公務員と国家公務員に分けて紹介してきました。

定年間近の方や長く勤めた方は、おおむね2000万円以上の退職金が支給されることがわかりましたね。

公務員に支給される「約2000万円の退職金」ですが、民間企業の退職金との差はあるのでしょうか?

厚生労働省が2018年10月に公表した「平成30年(2018年)就労条件総合調査 結果の概況の「退職給付(一時金・年金)の支給実態」をもとにチェックしていきます。

この調査によると、民間企業の退職金は、大学・大学院卒で定年を迎えた場合、退職者1人あたり平均1983万円。高卒で定年だと、平均1618万円が支給されています。

2000万円を超えるケースがほとんどである公務員のほうが、民間企業よりも条件がいいと言えそうです。

さらに、民間企業は退職金制度が必ずあるわけではありません。退職金制度がない、つまり退職金が0円の場合もあるのです。

厚生労働省が平成2018年10月に公表した「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」によると、退職金制度がある企業は8割程度。

企業規模ごとに見ると、下記のようになります。

  • 1,000人以上:92.3%
  • 300~999人:91.8%
  • 100~299人:84.9%
  • 30~99人:77.6% 

つまり、規模が小さいほど退職金制度がない企業が多いのです。

「退職金で老後は安泰」とは言えない

公務員の退職金について、民間企業と比較しながら確認してきました。

民間企業より公務員の方が退職金が高く、おおむね2000万円程度の額が安定的に支給されると言えそうです。

しかし実際には、公務員に支払われる退職金は民間企業に支払われる額と極端に乖離することがないように、調整が行われています。

そう考えると、必ずしも公務員の方が極端に恵まれた環境にあるとは言えないかもしれません。

加えて、昨今のコロナ禍のように人生において突然のハプニングはいつ起こるか、誰にも予想がつかないものです。

公務員であろうと会社員であろうと、万が一の事態に備えて、早めに資産を形成することは誰にとっても必要なことであると筆者は考えます。

資産形成は、早くスタートするほどリターンが大きくなるのが一般的です。

老後の生活に不安を抱えているものの、なにからはじめればいいかわからない方は、資産運用のプロに相談してみることからはじめてみるとよいでしょう。

参考資料


 

齊藤 慧