半導体シリコンウエハー国内主要各社、新工場建設の検討進む

既存工場がフルキャパ到達

足元では先端ロジック向けエピウエハーを中心に逼迫(写真:TSMCのN5ウエハー)

 信越化学工業、SUMCOのシリコンウエハー供給の大手国内2社が、相次いで新工場建設に向けた具体的な検討に入った。これまで既存工場の空きスペースに製造設備を追加して能力を高める「ブラウンフィールド投資」が主体だったが、半導体産業の長期的な成長が見込まれるなか、工場建屋から建設する「グリーンフィールド投資」が今後増えてくる見通しだ。今後、設備投資負担の増大に対して、顧客である半導体メーカーがウエハー価格の値上げにどの程度応じるかどうかがポイントとなりそうだ。

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足元は先端ロジック向けエピウエハーが活況

 シリコンウエハーの市況は足元では活況を呈している。特に先端ロジック向けのエピウエハーの需要が拡大しており、供給が追い付かない状況が続いている。メモリー向けは数量調整が続いていたものの、回復基調が見受けられる状況になっているという。また、200mmウエハーも年末から受注が急回復している。

 SUMCOは主力拠点の1つである伊万里工場(佐賀県)の増強余地がほとんど残っていないことから、新工場建設を含めたグリーンフィールド投資について注目を集めていたが、先ごろ開催された21年4~6月期決算カンファレンスで、橋本眞幸会長が具体的な検討に入っていることを明かした。

 300mmウエハーの需給環境について、同氏は「22年後半は徹底的に足りなくなる。23年はもっと深刻だ」として、業界全体で供給不足に陥ることを示唆した。現時点で投資判断を行ったとしても、製造装置などのリードタイムの兼ね合いから新工場からのアウトプットが出てくるのは24年中として見られており、22~23年はより一層需給環境がタイトになるとの見方だ。現状、工場立地場所については「日本か台湾」(同氏)としている。

 信越化学工業も20年度通期決算説明会の場で、既存建屋への設備導入と並行して、グリーンフィールド投資を検討していることを示唆した。現在の需要動向について、SUMCO同様に要求が強いのは300mmのエピウエハーと200mmウエハー全般だとしており、300mmについては顧客と話を進めているという。

避けて通れない「値上げ」

 投資判断に避けて通れないとされるのがウエハー価格の値上げだ。SUMCOはグリーンフィールド投資をした場合、現在の価格では採算が取れないとしており、現行価格から50~60%の値上げを顧客が受け入れてくれるかどうかにかかっているという。信越化学も「新規投資のための大幅な値上げも一部で容認され始めている」としており、業界全体で新工場投資の機運が高まることになりそうだ。

 大手2社以外にもフェローテックなどの新規参入組の需要拡大を受けて、積極投資を続けている。同社は中国国内の上海、杭州、銀川でシリコンウエハーを生産。6/8インチを主体に生産しているが、近年は300mmウエハーの生産にも力を入れている。21年4月に持分法適用関連会社における第三者割当増資を発表。これまで銀川および杭州で月産3万枚の生産能力を同10万枚に引き上げるべく準備を進めていたが、今回新たに同20万枚体制とする追加投資を決めた。

電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳

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執筆者
稲葉 雅巳
  • 稲葉 雅巳
  • 株式会社産業タイムズ社
  • 電子デバイス産業新聞 副編集長

2005年(株)産業タイムズ社入社、以後、電子デバイス産業新聞(旧:半導体産業新聞)編集部記者として、半導体を中心にエレクトロニクス業界の取材活動を続ける。2015年から副編集長。