そこまでして、働かなきゃダメなの…?

このセリフ、子供を育てながら仕事を始めようとしている女性や、実際に働いている女性なら一度は自問自答したことがあるのではないでしょうか。

毎日マルチタスクで家事・育児・仕事をやりくりしていると、不意に働くこと自体に意味を見いだせなくなる瞬間もあるもの。今回は、筆者周辺のワーママが、働く意欲を見失ったシチュエーションと、どう乗り越えたのかをご紹介します。

希望の保育園に入れなかったとき

Nさんは、正社員としてメーカーのマーケティング部に勤務している女性。入社5年目で産休・育休を取得し、子供の1歳の誕生日に復帰する予定でした。Nさんが暮らす街は、子育て世代が集う新しい住宅街。Nさん同様、正社員として働くママも多く、保育園激戦区です。

そんな状況を知り、Nさんは出産直後から近隣にある園を片っ端から見学。地域の子育てサークルにも入って、情報収集を徹底して行いました。少しでも子供が楽しく過ごせる環境を、そして、なんとか1歳のタイミングで仕事復帰できますように…と祈るような思いで申請書類を提出したと言います。

そして迎えた、保育園の入園可否発表の日。届いた通知には、第5希望の保育園に入園決定との記載が…。

「同じように保育園の結果待ちをしていたママ友たちからは『うちはダメだったけど、入れてよかったね!』と言われたけど、正直、ここに預けるぐらいなら落ちた方がよかったというのが本音でした」

Nさんが入園できることになったのは、ビルの一室を保育室に改装した認可外の小規模保育施設。保育室とトイレが近いため匂いが気になったり、日当たりが悪く日中も薄暗かったりと、何かと気になる点が多い施設でした。

「保育園は入れるだけでラッキーな地域。保育の質までは追求できないのが現実です。ここまでして働く必要ある?って相当悩みました」

Nさんは結局、転園願いを出しながら、第5希望の保育園に子供を通わせているそうです。親が子供の食べ物や着るものを選ぶように、仕事に復帰するときの預け先も自由に選べる日はまだ遠いのかもしれません。

「子供がかわいそう」と言われたとき

Fさんは出産後、フルタイムで出版社の編集部に復職。日々、締め切りを抱えながら激務をこなしています。復帰後も出産前と変わらぬパフォーマンスを仕事で発揮できている自分に誇りを持っていたFさん。しかし、夫の口から飛び出したある言葉に、働く意義を見失いかけたと言います。

「子供が熱を出した日も、病児保育を利用して仕事に行っていました。夫は元々そこまで仕事をがんばらなくてもいいんじゃない?っていうタイプだったんですけど、熱でグズる子供を預けて仕事に行く私を見て『さすがにかわいそう』と言われてしまって。

コロナのこともあって、よけい心配だったんだと思います。子供を泣かせて、夫にも共感してもらえず、私は一体何をしてるの?と自分がやっていることの意義を見失いました」

夫の「かわいそう」発言を受け、なかばケンカになりながら夫婦で話し合ったFさん。その中で、Fさん自身も、もっと子供と一緒にいたいと思いながらも、仕事のパフォーマンスが下がってしまうことが怖くて無理をしていたことに気がついたそうです。

今では仕事の量を調節しながら、スケジュールが許す限り在宅勤務やフレックス勤務に切り替えたとのこと。働くことは相変わらず大好きですが、自分の本音にフタをしなければならないほど余裕のない働き方からは、脱却できたそうです。

働く時間の長さでしか評価されないとき

Tさんは、新卒でメーカーに入社以来、販促部門スタッフとして勤務していました。出産後は時短勤務で同じ部署に戻ってきましたが、毎月の給料に違和感を持ったそうです。

「時短勤務で、1日2時間分の給料がカットされているとはいえ、どう計算しても給料が少ないと感じました。給与明細で詳しく調べてみると、復帰後の基本給が下げられていたんです。

何かの間違いかと思って人事部に確認したら『時短の社員は一律で階級が下がるため、基本給も下がる』と言われて。復帰前とやっている仕事は変わらないのに、時短というだけ一律で待遇が悪くなるなんて、理解できませんでした」

時短勤務でもきっちり結果が出せるよう、昼休みも返上で仕事をこなしてきたTさん。それなのに、仕事の成果でなく、働く時間の長さだけで評価される会社のシステムに愕然として、働くモチベーションが保てなくなったそうです。

「退職や転職も考えたけど、私はこの会社が好きなんです。このまま腐るわけにはいかないと思い、同じような境遇の女性社員に声をかけて、会社側に是正を要求する活動を始めました。もちろん自分のためですが、今ここで私たちが声をあげることが、将来自分の子供が働く世界をよくしていくことにつながると信じています」

時短勤務で肩身が狭い思いをしている女性は多いかもしれませんが、会社への貢献度は労働時間の長さだけでは計れないはず。不当な扱いに遭遇したときには、毅然とした態度でNOを言う勇気を持ちたいものですね。

自分にとっての最適解を選んでいきたい

出産後も女性が働くのが当たり前になりつつあるとはいえ、実際に働いてみると次から次へと悩みの種は生まれてくるものです。

今回ご紹介した女性たちは、たまたま働き続けることを選びましたが、転職や退職を選んで幸せを手に入れたという女性もいるはず。ライフステージに合わせて何を優先すべきかは変わってくるので、その都度、自分なりの最適解を選んでいきたいですね。

金谷 ひつじ