働く時間の長さでしか評価されないとき
Tさんは、新卒でメーカーに入社以来、販促部門スタッフとして勤務していました。出産後は時短勤務で同じ部署に戻ってきましたが、毎月の給料に違和感を持ったそうです。
「時短勤務で、1日2時間分の給料がカットされているとはいえ、どう計算しても給料が少ないと感じました。給与明細で詳しく調べてみると、復帰後の基本給が下げられていたんです。
何かの間違いかと思って人事部に確認したら『時短の社員は一律で階級が下がるため、基本給も下がる』と言われて。復帰前とやっている仕事は変わらないのに、時短というだけ一律で待遇が悪くなるなんて、理解できませんでした」
時短勤務でもきっちり結果が出せるよう、昼休みも返上で仕事をこなしてきたTさん。それなのに、仕事の成果でなく、働く時間の長さだけで評価される会社のシステムに愕然として、働くモチベーションが保てなくなったそうです。
「退職や転職も考えたけど、私はこの会社が好きなんです。このまま腐るわけにはいかないと思い、同じような境遇の女性社員に声をかけて、会社側に是正を要求する活動を始めました。もちろん自分のためですが、今ここで私たちが声をあげることが、将来自分の子供が働く世界をよくしていくことにつながると信じています」
時短勤務で肩身が狭い思いをしている女性は多いかもしれませんが、会社への貢献度は労働時間の長さだけでは計れないはず。不当な扱いに遭遇したときには、毅然とした態度でNOを言う勇気を持ちたいものですね。
自分にとっての最適解を選んでいきたい
出産後も女性が働くのが当たり前になりつつあるとはいえ、実際に働いてみると次から次へと悩みの種は生まれてくるものです。
今回ご紹介した女性たちは、たまたま働き続けることを選びましたが、転職や退職を選んで幸せを手に入れたという女性もいるはず。ライフステージに合わせて何を優先すべきかは変わってくるので、その都度、自分なりの最適解を選んでいきたいですね。
金谷 ひつじ