公的年金の支給額は、年度ごとに見直されます。
2021年(令和3年)度は、賃金の低下の影響を受け4年ぶりのマイナス改定に。前年度より原則0.1%の引き下げとなりました。
わずかな額ですが、「引き下げ」という言葉のイメージからは、現役世代の「年金不安」に繋がることも考えられそうな話題ではあります。
現在、日本の多くの企業では、定年60歳制が採用されています。これに関しては、2021年4月、改正高年齢者雇用安定法の施行により、希望者には70歳までの雇用を確保することが、企業に努力義務となりました。
しかし、定年後に働く場合、嘱託などの雇用契約となり、現役時よりも収入減るケースも多いようです。
やはり、私たちの多くにとって、老後の主たる収入になるのは公的年金でしょう。年金不安を少しでも軽くするために、どんな方法で備えればよいでしょうか。
今回は、いまのシニア世代の年金受給額、そして「老後資金をどう準備するか」などについて、証券会社で9年間、ファイナンシャル・アドバイザーとしてお客さまの資産運用に携わってきた私がお伝えしていきます。
【老後の命綱】国民年金はいくら受け取れるか
まずは、2020年12月公表の厚生労働省年金局「令和元年度厚生年金・国民年金事業の概況」から、国民年金・厚生年金の男女別の受給権者数を確認します。
まず、自営業者などの第1号被保険者と専業主婦(夫)など第3号被保険者が受けとる国民年金から見ていきます。
国民年金:男性の場合
• ~1万円未満:1万2693人
• 1万円~2万円未満:6万803人
• 2万円~3万円未満:22万1983人
• 3万円~4万円未満:70万6206人
• 4万円~5万円未満:134万5582人
• 5万円~6万円未満:312万4529人
• 6万円~7万円未満:849万4551人
• 7万円以上:38万1323人
国民年金:女性の場合
• ~1万円未満:6万6247人
• 1万円~2万円未満:24万4695人
• 2万円~3万円未満:74万63人
• 3万円~4万円未満:226万4161人
• 4万円~5万円未満:336万406人
• 5万円~6万円未満:454万1337人
• 6万円~7万円未満:598万7227人
• 7万円以上:144万306人
国民年金の平均年金月額は全体で5万5946円、うち男性が5万8866円、女性が5万3699円です。男女差はさほどないですね。
次は、会社員や公務員が受給する厚生年金について見ていきます。