「男性81.41歳、女性で87.45歳」
これが、2020年7月に厚生労働省が公表した「令和元年(2019年)簡易生命表の概況」による、日本人の平均寿命です。男女いずれも、過去最高を更新しています。
さて、現在日本企業の定年は、60歳が一般的といえるでしょう。
しかし、人生はもちろん60歳以降も続きます。冒頭の平均寿命を考えると「定年後、20年以上」老後の生活が続くであろう、と考えることが自然かもしれません。
そこで、多くのみなさんが不安を覚えるのは、やはり「老後資金」ではないでしょうか。
私は9年間、証券会社でファイナンシャル・アドバイザーとしてお客様の資産運用に携わってきました。その視点から、70代の貯金事情、そして老後資金の現状をお伝えしていきます。
定年後70代の貯金額
それでは、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和2年)」から、70代以上のみなさんの金融資産額について、保有額ゾーンごとの割合分布を見ていきます。
「金融資産がある世帯」と「金融資産を持たない世帯」それぞれに分けて比較します。
【金融資産保有世帯のみ】
70歳以上・二人以上世帯の金融資産保有額の分布
- 100万円未満:5.3%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:3.2%
- 300~400万円未満:3.7%
- 400~500万円未満:3.2%
- 500~700万円未満:8.0%
- 700~1000万円未満:7.7%
- 10000~1500万円未満:14.6%
- 1500~2000万円未満:9.8%
- 2000~30000万円未満:12.8%
- 3000万円以上:23.4%
- 無回答:3.2%
平均:2208万円
中央値(※):1394万円
70代以上・二人以上世帯を、金融資産保有世帯のみに絞って見た場合、平均では2000万円を超えています。中央値では1000万円の大台は超えているものの、2000万円までの距離はちょっと遠い、といった感じでしょうか。
※「中央値」について
中央値とは、数値を小さい順(もしくは大きい順)に並べた時に、真ん中にくるの数値を指します。「平均」は一部の極端な値(ここでいうと、お金持ちや貯蓄ゼロ世帯)に影響される傾向があります。よって、中央値のほうが、平均より実感に近い値といえるでしょう。