投機家たちが先回りして売る

上記のようなメカニズムにより、株価が暴落すると、売り注文が増えてさらに株価が下落する場合が少なくありません。

それを知っている投機家たちは、株価が暴落すると素早く株の売り注文を出し、株価がさらに下落してから買い戻そうとします。それによって株価はさらに下落することになるわけです。

本稿の中では4番目に記してありますが、時間的な順番としてはこれが最初であり、初心者の狼狽売りが最後になることが多いでしょう。

初心者が狼狽売りの注文を出し終えると、市場には売り注文を出す主体が残っていないので、売り注文は止まります。そこで、投機家たちが先に売っておいた株式を買い戻し始めるわけです。

すると、株価は音もなく急速に値を戻していきます。売り注文がないからです。それを見て、狼狽売りをした投資初心者が悔しがる、というわけですね。

もちろん、すべての暴落が上記のように、いっそうの暴落を招くわけではありません。むしろ、上記のようなメカニズムを上回る「押し目買い(値下がりしたから買いのチャンスだと考えて出て来る買い注文)」が出て来て、株価がすぐ戻る場合の方が多いでしょう。したがって、株価が暴落した直後の短期売買は極めて難しいのです。