半導体ファンドリー(受託生産)大手の台湾UMCは、2021年通年の設備投資金額を従来の15億ドルから23億ドルに引き上げる。主力工場の1つである台南の「Fab12A」で新たに拡張計画を発表、28nmプロセスを中心に旺盛な顧客需要に応えていく。
複数顧客と長期供給契約を締結
Fab12Aでは現在、フェーズ5(P5)の投資まで進捗。21年投資の主要案件も、P5における28nmの追加投資(月1万枚分)であった。今回、同社ではP5と並行して新たにP6投資を発表。23年第2四半期からの生産開始を予定し、総投資額は1000億台湾ドルとなる見通し。一連の投資により、Fab12A全体の生産能力は現状の月9万枚から同12万枚に引き上がる計画だ。
P6拡張投資にあたっては、複数顧客とローディング保証を伴う長期の供給契約を締結。28nm世代を中心に生産予定で、具体的には有機EL向けディスプレードライバーICなどが想定されている。
足元業績も絶好調
最終製品の需要が好調なことに加えて、サプライチェーンの調達リスクを回避する動きが強まっていることから、同社の業績も好調を継続している。先ごろ発表された21年1~3月期業績は、売上高が471億台湾ドル(前四半期比4%増/前年同期比11%増)、営業利益率16.2%(同3・8ポイント増/同8ポイント増)となり、売り上げ・利益ともに10年以降で過去最高水準となった。
工場稼働率は前四半期に引き続き100%をキープ。ウエハー出荷枚数は前四半期比3%増となったほか、ドルベースのウエハーASP(平均売価)も上昇した。主力プロセスの28nmが前四半期比18%増と伸長し、売上高構成比でも20%を占めた。さらに同プロセスの改良版となる22nmの出荷も1~3月期から開始した。
4~6月期予想はウエハー出荷として前四半期比2%増、ASPが同3~4%増を想定。工場稼働率は引き続き100%で推移する見通しだ。
電子デバイス産業新聞 副編集長 稲葉 雅巳