つまり「年金の繰上げ受給」とは、個人の希望により、60歳から年金の受給を開始することができますが、請求するのが早ければ早いほど減額率は大きくなってしまうことになります。

減額率は老齢基礎年金も老齢厚生年金も「繰上げた月数×0.5%」で、減額された年金額は一生変わりません。

例えば、60歳で定年を迎えて収入がゼロになってしまった場合、年金の受給を早めることで収入を確保できるというメリットはあります。

一方で、生涯もらえるはずの年金受給額が減額されてしまうというデメリットも生じます。両方をしっかり理解しておく必要がありますね。

では、実際に年金の繰上げ受給をしている人はどれぐらいいるのでしょうか?

繰上げ受給の割合、どれくらいか

厚生労働省年金局「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、繰上げ受給している人の割合は以下の通りです。

新法厚生年金保険(老齢厚生年金)受給権者の繰上げ受給率

  • 平成29年度:0.2%
  • 平成30年度:0.3%
  • 令和元年度:0.4%

国民年金 受給権者の繰上げ受給率

  • 平成29年度:13.6%
  • 平成30年度:12.9%
  • 令和元年度:12.3%

厚生年金では繰上げ受給している人がほとんどいない一方で、国民年金では全体の約1割が繰上げ受給をしています。

繰上げ受給という制度はあるものの、現時点では実際に利用している人の割合はそう高くはないようです。