老後に必要なお金はライフスタイルや健康状態によっても異なりますので、一概に「いくら必要」とは断言できないでしょう。

とはいえ、いわゆる「標準的な世帯」が「標準的な老後生活」を送るために、公的年金以外に2000万円、ないしはそれ以上が必要であるともいわれています。

還暦過ぎても働き続ける人が増え、それを後押しする制度も整いつつあります。とはいえ、多くの企業の定年は60歳、65歳です。よって、50代を現役時代のラストスパート時期と捉える考え方は、いまだ主流であるといえるでしょう。

50代は、キャリアそして貯蓄の面でも集大成のフェーズ、といったところでしょうか。

今回は、そんな50代のみなさんのお金事情についてながめていきたいと思います。

50代の「収入事情」

さいしょに、50代の収入事情について触れておきましょう。

国税庁が公表している「民間給与実態統計調査(令和元年分)」(2019年)を参考にします。

同調査の結果より各業種の平均給与を見ていくと、「宿泊業・飲食サービス業」「電気・ガス・熱供給・水道業」以外の「最も高い平均給与」の年代は、すべて「50~54歳」「55~59歳」のいずれかとなっています。

多くの業界で、50代が給与額のピークであることが分かります。

50代前後の「貯蓄額」

次に、金融広報中央委員会が公表した最新版「令和2年(2020年)家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」から、50代前後・二人以上世帯の貯蓄額がどう動いているかを確認していきます。

世代別「金融資産保有額」(含:金融資産非保有世帯)

(参考)全世代・・・平均1436万円:中央値650万円

40歳代・・・平均1012万円:中央値520万円
  ↓
50歳代・・・平均1684万円:中央値800万円
  ↓
60歳代・・・平均1745万円:中央値875万円

平均、中央値ともに、40代から50代にかけて大きな伸びを見せていますね。

「平均」と「中央値」

中央値は数値を小さい順、あるいは大きい順に並べた時、真ん中に位置する数値のこと。平均は、もちろん参考となる値ですが、一部の極端な数値に引っ張られがちになるため、実感とかけはなれた数値になってしまうことがあります。よって、中央値の方が実勢により近い数値といえます。

 

さて、貯金とセットで「借金がいくらあるか」も認識しておく必要があります。

次では、50代の借入額を確したあと、貯蓄から負債を引いた「ほんとうの貯蓄額(純貯蓄額)」を計算してみましょう。