私鉄株の一部が急騰
トランプ氏が米国の次期大統領に決まって以来、日本の株式市場は勢いづいてきました。2016年11月16日までの過去1か月、TOPIXは約+5%上昇しています。中でも銀行株など金融株の上昇に市場の目が奪われがちですが、ひそかに上昇をしている銘柄群が出てきました。
それは私鉄株の一部です。過去1か月の株価パフォーマンスを見ると、西武ホールディングスが+16%、東京急行が+12%、京浜急行が+12%と高い上昇率を示しています。そして、この3社に共通するのは、4‐9月期の決算発表を機に通期業績の上方修正を発表していることです。
とはいえ、私鉄株が全て上昇しているわけではありません。関東の大手私鉄のうち、上記の3社以外の5社の株価はいずれもTOPIXを下回るパフォーマンスでした。
関東大手私鉄8社、営業キロ当たり時価総額ランキング
そこで、今回は株式市場が関東大手私鉄8社をどう評価しているのか、時価総額ではなく、営業キロ当たり時価総額でランキングして特徴を探ってみましょう。
関東大手私鉄8社とは、時価総額順に、東京急行電鉄(9005)、小田急電鉄(9007)、西武ホールディングス(9024)、京浜急行電鉄(9006)、東武鉄道(9001)、京王電鉄(9008)、京成電鉄(9009)、相鉄ホールディングス(9003)です。
下位3社はこの鉄道
ランキングですので、下位から始めたいと思います。
第8位 東武鉄道 12.3億円/営業キロ
第7位 京成電鉄 27.9億円/営業キロ
第6位 西武ホールディングス 38.9億円/営業キロ
いかがでしょうか。東武鉄道の数値が際立って低いですが、これは同社の営業キロ(463キロ)がこの8社の中で突出しての長いことが影響しています。
ちなみに、京成電鉄、西武ホールディングスの営業キロはそれぞれ152キロ、177キロで、8社の中では東武鉄道に次いで大きい数値です。誤解を恐れずに言えば、これらの鉄道は面を押さえるというよりも長い距離を線で結ぶという展開をしていますので、営業キロ当たり時価総額という指標で見ると不利になると言えるでしょう。
トップ5はこの鉄道。栄光の1位は?
では残りの上位5社のランキングを見てみましょう。
第5位 小田急電鉄 65.1億円/営業キロ
第4位 京王電鉄 66.8億円/営業キロ
第3位 相鉄ホールディングス 67.9億円/営業キロ
第2位 京浜急行電鉄 73.7億円/営業キロ
第1位 東京急行電鉄 98.2億円/営業キロ
いかがでしょうか。
これらはいずれも東京および神奈川をベースにした私鉄です。営業キロ当たり時価総額で見ると、西高東低の傾向が出ています。
もうひとつ大変興味深いのは、第1位の東京急行電鉄を除き、およそ1営業キロ当たり時価総額が70億円前後に収れんしていることです。
また、第3位の相鉄ホールディングスは、この8社中で営業キロが最短の36キロにすぎません。
東京急行電鉄の強さとは
第1位の東京急行電鉄で興味深いのは、営業キロが105キロとなっており比較的長いことです。これは同社の鉄道ネットワークが単に線をつなぐだけでなく人口密集地で面を押さえるように展開していることあるのではないでしょうか。
ちなみに上位5社の中で営業キロが東京急行電鉄に近いのは第5位の小田急電鉄の121キロですが、こちらはどちらかといえば線をつなぐ路線展開になっています。そのため、営業キロ当たり時価総額は中位にあります。
最後になりますが、筆者は東武鉄道沿線に現在住んでいます。日光まで気軽に、かつ安価に日帰りできるという、長距離路線のメリットをぜひ指摘しておきたいと思います。
LIMO編集部