社会の変化が激しい昨今、個人の価値観や働き方は多種多様になり、企業の在り方にも影響を及ぼしています。
日本の代表的な雇用制度であった、年功序列や終身雇用、退職金制度にも変化の波は訪れており、一つの会社に定年まで勤めあげるという選択肢はリスクを伴うものになってきています。
かつて、退職金は老後生活を支える大きな柱の一つで、豊かな余生を過ごすにあたっては必要不可欠なものでした。しかし今日では、働き方の変化や景気の煽りを受けて、退職金を老後生活のあてにすることが難しくなっています。
そこで、本日は金融機関で10年以上勤務した経験のある私から、退職金制度の現状と、老後の「退職金頼み」から抜け出す方法についてお話したいと思います。
退職金制度がない企業の割合はどれくらいか
はじめに、退職金制度がない企業はどれぐらいあるのでしょうか。
厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査 結果の概況」によると、企業規模別の退職金制度の有無は以下のようになっています。
退職給付(一時金・年金)制度がない企業
- 1000人以上:7.7%
- 300~999人:8.2%
- 100~299人:15.1%
- 30~99人:22.4%
- 平成30年調査計:19.5%
企業規模によって差があるものの、全体の約2割の企業に退職金制度がないことが分かります。
また、過去3年間に退職一時金制度の見直しを行った企業の割合は全体の9.3%で、見直し内容としては「新たに導入又は既存のものの他に設置」が28.8%で最も多くなっているものの、「退職一時金制度の廃止・脱退」と回答した企業が2.3%あることも見逃せません。