厚生労働省の調べによると、新型コロナウイルスの影響で解雇されたり雇い止めになったりして仕事を失った人は、4月7日時点で見込みを合わせて10万人を超えたといいます。失業して収入の道を断たれ、「お金がない」という苦境に陥るケースは今後も増えていく懸念があります。
ただ、いったんお金がない状況に陥っても、それまでの生活へ戻っていく人もいれば、借金を重ねて破滅の道を突き進む人もいます。この記事では、筆者が消費者金融会社に勤務していた頃に見聞きした実話をもとに、「お金のないことをキッカケに転落する人と脱出する人の違い」を考えます。
40代半ばの男性A、自営業(自称ブローカー)の場合
Aは常に高そうなスーツを着用している自称ブローカーで、40代前半の妻と20代の息子がいました。妻はパートを掛け持ちするなどして働いていましたが、息子は両親の借金に気づきながら、働かずに親のスネをかじるパラサイトでした。
あるとき、Aのローン返済が厳しいと保証人である妻のE子から相談があったことで、Aが自分の稼ぎをすべて遊びに使い、妻は早朝から深夜まで働いて返済を続けていた事実が発覚。
そこでAには返済を促し、息子にも働いてもらうよう伝えたのですが、Aは一向に妻にお金を渡さず、息子は家庭内暴力をふるうようになり、妻は逃げるように実家に戻って一家離散となりました。