子どもの理解度に合わせた学習はまだこれから

スマートフォンやタブレット端末が普及してきたこともあり、タッチパネルの扱いは子どもでも経験済みです。その一方、ノートパソコンのようにキーボード操作を必要とする機器は個人差が出やすく、プログラミング教室に通っている子が、経験のない子に「ここはこれを打つ」と教える場面も頻繁にあるようです。

今日の公教育ではアクティブラーニングが積極的に導入されていますが、一方的な講義ではなく「教え合う」「学び合う」ことが推奨されています。しかし、上記のようにキーボード操作などを扱いになれている子が分からない子に教える状況になりやすい、というのはアクティブラーニングの考え方とは離れてしまう懸念があります。

ただし、全員が「Yahoo!きっず」で調べたいものを検索をしてみるなど、楽しみながらICT機器と向き合っていると筆者の子どもたちは教えてくれました。

では、本格的にICT機器を使った学習が行われているのかといえば、まだまだこれから。現状では昔ながらの黒板を使った授業が主流です。昨年の臨時休校のような有事の時に備えて、生徒児童にICT機器を配布・設定できるまでになった、というのが実情と言えます。

つまり、残念ながら、全国津々浦々の公立小中学校で通信教材会社が行っているような「タブレット端末で子どもの理解度に合わせた学習」がすぐできる状況ではありません。

しかし、全国でGIGAスクール環境が整えば、都市と地方の子どもの教育機会格差が是正されるという期待も高まってきます。もちろん、公教育という観点から私立学校並みとはいかないでしょう。しかし、これまで懸念されていた地域格差が縮小へと向かう可能性は大いにあります。

多くの親が待ち望んできた「子どもに合わせた学習システムの構築」「休校時でも学校にいる時と変わらず勉強時間を確保できる」ことが実現可能になりつつあり、日本の公教育の変革期を迎えようとしています。

中山 まち子