学生の希望就職先や「親が子どもに就いて欲しい職業」の上位にランクインすることが多い公務員。
株式会社マイナビが2021年3月に公表した「マイナビ2022年卒公務員イメージ調査」の結果によると、学生の公務員志望度は、いわゆる「コロナ前」に比べて上昇しているようです。
「安定している」「給与・待遇が良い」といった項目に並び、「社会的貢献度が高い」「地域に密着した仕事ができる」といった志望動機が挙げられています。
感染症対応や災害時などの場面で、プライベートを二の次にして職務に専念する公務員のみなさん。「待遇が良くて羨ましい・・・」というイメージは、実際のところどうなのでしょうか。
今回はそんな公務員の退職金事情を、民間企業の実態と比較しながら眺めていきます。
※株式会社マイナビ「マイナビ2022年卒公務員イメージ調査」
会社員の平均退職金額はどのくらい?
さいしょに、比較対象となる「民間企業の会社員」の退職金事情から見ていきます。
厚生労働省公表の「退職給付(一時金・年金)の支給実態(平成30年)」から、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の1人平均退職給付額(定年)を抜粋します。
- 大学・大学院卒(管理・事務・技術職):1983万円
- 高校卒(管理・事務・技術職):1618万円
- 高校卒(現業職):1159万円
学歴よって差はありますが、大卒の正社員で約2000万円が平均値となっていますね。
ただし、この退職金の相場は、企業規模によっても差があるようです。
大企業の平均退職金額
中央労働委員会公表の「令和元年退職金、年金及び定年制事情調査(2019年)」によると、資本金5億円以上かつ労働者1000人以上の企業を対象とした調査の中で算出された大学卒の平均退職金額(退職事由が定年退職)は、下記のとおりです。
- 大企業:2511万1000円
中小企業の平均退職金額
中小企業については、東京都産業労働局公表の「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」を参考にします。
同資料によると、従業員が10人~299人の東京都内の中小企業を対象にした調査の結果、「モデル退職金」(大学卒業後すぐ入社し、普通の能力と成績で勤務した場合の退職金水準)から見る退職金額(退職事由が定年退職)は、下記のとおりです。
- 中小企業:1118万9000円
一般的に大企業よりも中小企業の方が退職金の支給額は少ない傾向があるといえそうですね。
では、民間企業の退職金事情を頭に入れつつ、公務員の退職金事情について見ていきましょう。