SDGs(持続可能な開発目標)は連日話題に上ることが多い一方、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓い、全世界で取り組むべき目標であるがゆえに、なかなか身近なものとして捉えづらい方もいらっしゃるかもしれません。
また、高い理想に基づいた目標であるため、批判が集まりやすい側面があるのも否定できません。そこで今回は、SDGsを身近な自分事として捉えるための考え方についてお話ししていきましょう。
環境問題は解決したいが環境政策には批判的な声
ここでは、SDGs17のゴールのなかでも「7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに」や「13. 気候変動に具体的な対策を」などに代表される環境問題に焦点を絞って考えていきます。
環境問題は、私たちの生活に直接関係する身近なものですが、そうであるがゆえに、その問題解決にあたっての環境政策は批判が集まりやすいといえます。たとえば、レジ袋の有料化や再生可能エネルギー普及に向けた政策などは多くの議論を呼びました。
もちろん、一つの政策に対して様々な角度から議論することは悪いことではありません。また、批判のなかには建設的な意見もありました。しかし、残念ながら、批判のための批判といえるようなものが散見されたのも事実です。
環境政策に批判の声が寄せられる具体的な理由について考える
おそらく大半の方は環境問題を解決したいと思っているでしょう。しかし、それが環境政策に落とし込まれると、なぜ批判のための批判が少なからず出てくるのでしょうか。
その大きな原因の一つとしては、従来の環境政策が大気汚染や水質汚濁などから私たちの健康を守るものであったのに対し、近年の環境政策では地球環境そのものを守るものへとシフトしていることが考えられます。これによって、環境政策が身近なものとして考えづらくなっているのかもしれません。
たとえば、レジ袋の有料化の政策への批判として、「海洋ゴミの削減」という政策目標に対する効果が本当にあるのかという疑問の声があります。
この政策目標は、一見すると私たちの生活との直接的な結びつきを感じにくいかもしれません。しかしながら、経済産業省の参考資料等によると、政策目標としてはたしかに「海洋ゴミの削減」ですが、政策に求めている効果としては「消費者のライフスタイルの変革」、具体的には使い捨ての習慣からの脱却にあります。
この点を踏まえると、目先の取組みとして肝要なのは、私たち一人ひとりが使い捨てに対する意識を高め、実際の行動として使い捨てを止めることにあり、政策目標はあくまでもその先にあるものといえます。
自分事として受容しつつ建設的な批判もすること
もちろん、批判のための批判ではなく、目標達成のために議論を前に進めるための建設的な批判は必要不可欠といえるでしょう。
ただ、そのためには、SDGsの掲げる地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」や17のゴールについて、まず受け容れて、自分自身の身近な物事との結びつきを考えてみることが大前提ではないでしょうか。
冒頭でもお伝えしたように、SDGsは持続可能な開発目標です。持続可能性(サステナビリティ)を担保するためには、それこそ持続的な試行錯誤が求められます。
一様ではありませんが、自分自身が望む将来、また、その将来に向けて環境を整える意味でも、より良い社会を実現するために、前向きな議論を重ねるためのバランス感覚を一緒に養っていきましょう。
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