IT業界で多重下請け構造が起きる理由。対策はあるか?
各種報道によると、SIer(システムインテグレーション = 顧客の依頼により、情報システム構築~運用・保守を一貫して担う企業)の場合は一次受けが「要件定義のみ」を行い、二次受け以降が開発・実装をする……という構造でありその点の批判も多くありますが、私自身はSIerでの業務経験がないため、言及を控えます。
ただ、私のこれまでの経験上、自社開発できる体力がある開発会社・事業会社であっても、「完全に自社社員のみで賄えるケース」は稀です。
「IT化が求められるプロダクト・業務」が減らない限り、業務委託を依頼したり、開発あるいは運用・保守を外部の企業に再委託したりするケースを完全に排除するのは難しいです。
さらに、新型コロナウイルス流行拡大により、人々の直接の接触が制限されています。インターネットを活用することで、人々の直接接触を防ぐ効果があるため、「IT化が求められるプロダクト・業務」は依然として増加傾向です。
「最後まで自社で開発し、同じチームで保守・管理できる」企業を目指すのがお勧めですが、これも別の難しさがあり、残念ながら明確な解決策はありません。
参考資料
- 厚生労働省「Android版接触確認アプリの障害について」
- パーソルプロセス&テクノロジー「新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」で発生した 不具合の解消・改善について」
- 厚生労働省「企業支出詳細情報」
- 厚生労働省「接触確認アプリCOCOAの 現状と課題」
- 政府CIOポータル「第3回 接触確認アプリに関する有識者検討会合 議事概要」
- 日本法令外国語訳データベースシステム「会計法第29条の三 4項・5項」
- 厚生労働省「接触確認アプリ「COCOA」の不具合の発生経緯の調査と再発防止の検討を行います」
當瀬 ななみ