しかし、ここで一つ気になるのが「経済的にWi-Fi環境を整えられる家庭」に分類される場合はどうなるの?ということ。Wi-Fi導入もさることながら、PC端末で家庭学習をするのが通常となれば、その分、通信費も端末の充電にかかる電気代も増えるのではないかと心配です。
学校と家庭の連係不足が問題視されている?
GIGAスクール構想で推進される“新たな学び”には、通信環境の整備が欠かせません。しかし、そのために家庭にWi-Fi環境をつくる費用や、環境ができた後の通信費に対する補助などは、現段階では存在しないようです。
確かに教育は必要であり、受ける権利・受けさせる義務は子どもと保護者にあります。ですが、従来どおり学校に通っているだけなら発生しなかったはずの費用が、当たり前のように家庭負担になってしまうことに関しては、少々疑問が残るところ…。
さらに今後、教科書や副教材がデジタル化されるにともない、新たな費用が発生するのではといった懸念や、コロナ禍の中でリモート授業を受けていた子どもたちに起きた視力低下などの健康問題が、より多くの子どもに起きないかという心配など、さまざまな問題が積み残されている気がします。けれども、回答を得られる気配は今のところありません。
家庭への理解促進や、学校と家庭の連係が不足していることについては、実は、文科省に設置されている「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」の中でも問題視されているようです。
今後は、学校がどのような教育を進めようとしているのか、そして家庭ではどのように子どもの学習を支えていけばいいのか、もっと情報を活発に交換しあって、良い方向へ転がっていくことを願うのみです。
まとめ
GIGAスクール構想自体は時代の変化に応じた必要不可欠なもの。まだまだ不十分な部分もあるかもしれませんが、そもそもPC端末を全員に無料で貸与という時点で、実は結構すごいことなのかもしれません…。
いよいよ始まる“新しい学び”。子どもたちが新たなスタイルで授業を受けている姿を、ぜひ授業参観などで見てみたいですね。今後の動向もしっかり注視していこうと思っています。
参考資料
- 「GIGAスクール構想の実現に向けたICT環境整備の進捗状況について(速報値)」文部科学省
- 「令和2年度補正予算概要説明 〜GIGAスクール構想の実現〜」文部科学省(2020年5月11日)
- 「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議(第6回)議事録」文部科学省
岩田 結