文部科学省・厚生労働省の発表によると、2021年2月1日時点で、この春に大学を卒業予定の学生たちの就職内定率は89.7%となっていることが分かりました。これは、過去最高だった前年同期と比べると、2.8%低い数字です。
実はこの内定率、2020年10月1日の時点では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、前年の同じ時期より7.0%減という状態でした。
冒頭の内定率まで持ち直したのは、当初の希望以外の業種にも広く目を向けるよう大学側が就職指導を行ったことが関係しているのではないか、と文部科学省担当者は分析しているようです。(※)
コロナ禍で迎えた2年目の春。
若いみなさんの中には、社会人生活の序盤で、進路やキャリアを大きく軌道修正することを余儀なくされた方も多いかと思います。
「20代」といえば、社会人として独り立ちする人が多い時期。
「今の会社にいつまで勤めていられるのか」「何歳までには結婚したいと思っている…」「キャリアを積んで30歳までには独立したい」など、人ぞれぞれの不安や希望をお持ちのことでしょう。
見通しの立ちにくい今、ご自身の将来、とりわけ仕事やお金について漠然とした不安を感じていらっしゃる方は少なくないはずです。
そこで今回は、『資産形成はじめの一歩「20代・ホントの貯蓄額」』と題して、20代の貯蓄や借入金といったお金事情をのぞいていきます。
(※)「大卒内定率、9割届かず 2月時点」日本経済新聞 2021年3月20日 朝刊
20代の「金融資産」はどのくらいか
20代のお金事情をながめるまえに、金融広報中央委員会が公表した、最新版「家計の金融行動に関する世論調査 令和2年(2020年)調査結果」から、金融資産保有額(全ての世代)を知っておきましょう。
金融資産保有額(20歳代~70歳以上) ※金融資産非保有世帯を含む
単身世帯
- 平均・・・653万円
- 中央値・・・50万円
二人以上世帯
- 平均・・・1436万円
- 中央値・・・650万円
では、ここからは20代のお金事情について、単身世帯・二人以上世帯に分けて確認していきます。
20代の金融資産保有額 ※金融資産非保有世帯を含む
20代の金融資産保有額は以下の通りです。
単身世帯
- 平均・・・113万円
- 中央値・・・8万円
二人以上世帯
- 平均・・・292 万円
- 中央値・・・135万円
ではこの貯蓄を、20代のみなさんはどのような種類の金融商品で保有しているのでしょうか。
20代の「種類別金融商品保有額」 ※金融資産非保有世帯を含む
20代・単身世帯の金融資産保有額・・・113万円
預貯金(うち運用または将来の備え)・・・77万円
- うち定期性預貯金・・・21 万円
金銭信託・・・0 万円
生命保険・・・5 万円
損害保険・・・0 万円
個人年金保険・・・4 万円
債券・・・1 万円
株式・・・14 万円
投資信託・・・7 万円
財形貯蓄・・・3 万円
その他金融商品・・・1 万円
20代・二人以上世帯の金融資産保有額・・・292万円
- 預貯金(うち運用または将来の備え)・・・165万円
うち定期性預貯金・・・64万円
金銭信託・・・0万円
生命保険・・・42万円
損害保険・・・10万円
個人年金保険・・・30万円
債券・・・0万円
株式・・・27万円
投資信託・・・2万円
財形貯蓄・・・17万円
その他金融商品・・・0万円
20代の金融資産の6割前後を預貯金が占めていることが分かりました。(単身世帯:68%、二人以上世帯:56%)
では、20代の金融資産保有額のあらましがわかったところで、保有額ごとの割合をみていきましょう。