その貯金額で老後はホントに大丈夫?
ここまでながめてきたデータからは、金融資産を持たない世帯を含めた60代の貯金額の中央値は875万円。つまり、1000万円に満たないことが分かりました。
また「金融資産ゼロ世帯」と「金融資産3000万円以上世帯」が、それぞれ2割弱を占める、まさに貯蓄格差といえる状態であることも確認できています。
では仮に、この中央値の「875万円」という貯蓄額で、老後は何年くらい生活していけるのでしょうか。
先に結論からいうと「世帯によって異なる」といえるでしょう。
現役時代の収入やライフスタイル、さらには持家の有無といった諸事情は人それぞれだからです。
では、いったん視点を変えて「老後に必要な資金はいくらなのか」という切り口から考えてみましょう。
老後の生活に必要なお金はどのくらい?
公益財団法人生命保険文化センターが実施した「令和元年(2019)度 生活保障に関する調査」によると、老後を夫婦2人で過ごすための最低日常生活費の平均は22万1000円という結果に。
さらに「ゆとりある老後を過ごすための上乗せ額」として平均14万円必要である、という結果も出ています。この場合、月平均で36万1000円となるわけですね。
では、老後生活が30年続くと仮定して、「最低日常生活費」と「ゆとりある老後生活費」がそれぞれいくら必要となるかを計算してみましょう。
老後の最低日常生活費
22万1000円✕12ヶ月✕30年=7956万円
ゆとりある老後生活費
36万1000円✕12ヶ月✕30年=1億2996万円
どうでしょう、かなり大きな金額となりますね。
年金収入、そしておつとめの方は定年退職金が入ることを考慮しても、60代の中央値である「貯金875万円」では、ゆとりある老後生活を送れるケースはまれであろう、ということがお分かりいただけるのではないでしょうか。