マスクや消毒液を買い占める、いわゆる「転売ヤー」が社会問題化しています。ヨドバシカメラやノジマでは「転売禁止」を掲げており、アメリカでも「PlayStation5(PS5)」の転売が問題になっています。
「転売ヤー=迷惑」というイメージがありますが、一方でありがたい転売ヤーもいます。ありがたい転売と、迷惑な転売をわける差はどこにあるのでしょうか?転売問題の是非を論考します。
ありがたい転売は「市場流動性の提供」
転売活動がもたらす、最大の価値提供は「市場流動性の提供」ではないでしょうか。
たとえば、大手パンメーカーの製造したパンは、スーパーやコンビニなどあらゆる店舗で手に入ります。もしもヤマザキパンの製造したパンが、デイリーヤマザキでしか販売されないとすると、ヤマザキパンを愛する消費者は手に入れることが困難になるでしょう。しかし、実際にはあらゆる店舗で手に入る「市場流動性の高さ」のおかげでほしいと思った時に手軽に入手できるのです。
これはオンラインでも同様です。書籍は書店以外でも、ネット通販サイトや古本ショップなどでも買うことができます。順番待ちを受け入れるなら、図書館なら無料で読むことができるでしょう。
- 「書籍は実際に手にとって、立ち読みしてから買いたい」
- 「古本でもいいから、安く手に入れたい」
- 「近所に書店がないから、ネット通販で買いたい」
- 「図書館で読んで、気に入ったものだけほしい」
こうした人によって異なるニーズを汲み取ってくれるのが、市場流動性の高さが提供してくれる価値なのです。転売活動により、入手が容易になり、購買時の選択肢が増えることは消費者にとってありがたいことです。
筆者は過去に製造販売中止商品がどうしても欲しくて、ヤフオク!で落札して購入したことが何度もあります。ネットオークションによる出品も、転売活動の一環といえるのです。
また、レア商品などを転売するのもありがたい転売です。本来は中古ショップを何軒もまわらなければ入手不可能なものをネットで販売してくれるのは、それがたとえ多少高値がついていたとしても、レア商品の入手を容易にしてくれた情報料と手間賃と考えれば、価値提供したと考えられるのではないでしょうか。